第1話
魔力が常人の数千倍もあるにもかかわらず、一切の魔術が使えない特異体質を持つ領主の娘、エミーリア。
魔力暴発を危険視された彼女は、十六歳の誕生日を迎えた翌日に城に隔離され、強固な結界に阻まれ外に出ることも、
また誰かを迎え入れることもなく淡々とした日々を過ごしていた。
しかしある日、衝撃音と共にエミーリアの婚約者を名乗る一人の魔術師が城にやって来た。
国家魔術師のみが着用できるローブを纏いやってきた彼、アランは「君の最後の婚約者だ」と自称する。
ある事情から離れられないアランとエミーリアは、これから先の人生をどう歩むかを模索しながら世界を巡る旅に出る。
様々な出会いや別れを経て、二人の行き先に待ち受けているのは―――