知識ある創作家なら一度は取り上げたい題材でしょう。イエス=キリストの「この世」での存在について。
しかし、それを日本のBL漫画でやるのか?誰がどこまで読み深めてくれるのか?商業としては軽い博打でしょう。『ダ・ヴィンチ・コード』がヒットをした
のは、また別の話。
イエス=キリストの血を脈々と受け継ぐ‘者’を保護する団体A。Aから分派しイエス=キリストのクローンを戴くに至った団体B。
Bから逃げ出したその‘者’(主人公)をAが迎え、Bのイエス=キリスト=クローンが滅びる過程に、男性間の激しい愛憎がからむ。といった内容です。
キリスト教素材が大変容易にBLに溶け込む、という方は少なくないはず。本作でもしっくりハマって、読者によっては本作世界の中心が「恋愛」になる恐れがあります。
しかし本作は寿氏の他のSF『クロック・ダウン』『コンクリート・ガーデン』等に比べ主題が恋愛を離れている、もしくは超えていると言ってよいと思います。ロマンス重視の方には物足りないかも。
意欲と色気と個性をかって評価満点としました。
もっとみる▼