ホントに上手い!ひと画面ひと画面の持つ力、感情の動き、引っ張り込まされる。
人の感情のいわくいい難い二極性、好きと嫌いの真反対の要素が、二人をひかれあわせ、そして反発させ、天国と地獄の間で二人の関係を翻弄する。
彼に強くひか
れる感情が、冷酷な宣告によって一夜にして打ち砕かれた時、ヒロインの恋心は憎しみに変貌していた。
彼は復讐を遂行する負のエネルギーが、事故を境に、妻を求める熱情に百八十度転換。
ただ、ヒロインは心を否定しても彼を求めてる身体は否定できないことから、自分の本心を封じた。
橋本先生は、効果的に黒を差して濃い陰影で印象的な絵柄を作る。このストーリーの愛憎のコントラストをドラマチックに見せる工夫がよくなされている。
内容は、激情のぶつかり合う前半と、南の楽園の島で夢を見ているように過ごす中間部分、過去の辛い思い出を乗り越えていく後半、そして静かに感情が収斂する結末。
冷たさと内面の熱さを併せ持つ彼、輪郭線もくっきりと肌も滑らかそう。神々しさまで画力でにじむ。
どこか底知れぬ裏の顔の凄みを意図的に垣間見せて二人の関係は残酷だ。
彼がヒロインのドレスアップ姿を見たときに顔に思わず出た表情への当方の期待により、結末迄興味を繋ぐ。
クライマックスで、彼がヒロインを求める姿に胸の奥がギューッとする。以前の冷徹な表情でなくどこか少年の顔で懇願した。表情の変化は歴然。巧い。藤田先生のHQ 男子を彷彿とさせる。
疼きや、相手に見せない本当の心情などが吟味された言葉で語られ、会いたい、と思いを募らせる描写も凄い。彼の元に走り出すヒロインに熱くなる。根っこに燻る愛情の、出口の塞がれていた苦しみ。読みごたえがある。無邪気になれない感情。もつれた感情の表し方が巧み。
蛇足ながら、私は合意の有無が分岐点と思っていたことが、この物語では、目的の違いやプロセス中の女性の納得度なども、決定要素なのか?と認識を新たにした。いやしかし、もしも、ヒロインがまたH出来るようになったことは、それは、それ-悲劇とはもう扱えないのではないのかという疑いは残る。
それは二人の間ではやっぱりソレ認定のことであっても、名香先生「PARTNER 」茉莉花心境?
最後一頁だけ、文字部分は良いが、輝きが、日の光の描写が解りづらく、背景がそこだけ簡単に見えて物足りなかった。
ベッドシーン多い。
濃密だ。
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