以前からこの漫画家さんのことは、私も某小説のイラストで知ってはいたけど。
ただ、この作者の作品自体を読むのはこれが初めて。
結構楽しめた。中には豪華客船に船上カジノ、更に宝の入った金庫という、アルセーヌ・ルパンのような話や、ローマの休日
のパロディーもある。
私は例えば聖りいざの「COMBINATION」などの、恋愛メインではない、男性主人公のハードボイルド的な世界観の話は割と好きなんで。
こちらの方が、コミカルだけど。主人公の秋の設定も、一工夫が感じられていいと思う。
特殊能力を持ち、どんな鍵でも開けてしまえる、ニヒルでクールな美形という。
現実的な意味での、天才解錠師とかなら、普通に青年漫画でもありそうだし。
こうした設定は、作者自身の好みでもあるんだろうけど。
何より、いずれも個性的で一癖ある主要キャラ達がいいと思う。
それから、一応主要キャラはみんな悪人ばかりということだけれど、実際には彼らはそんなに悪人にも見えない。秋やリンの、その秘めた優しさが、垣間見えるし。情報屋の神林に至っては、愛する秋のために、ひたすらその能力を駆使する健気さや一途さだし。
それに秋の幼馴染みの極龍太郎も、その悪徳高利貸しという仕事を見れば完全に悪人だが。
でもやたらと惚れっぽいとかの、どこか愛嬌というか、憎みきれない部分があるし。
それから、キージャックの依頼者から秋の女だと大喜びで勘違いされる神林が危険なミッションを成功させる話の、瀕死のキリスト然とした龍太郎を蘇生させる、天使の如き慈愛に満ちた神林。というか、この場合は謎の美女ヒカルのカットが素晴らしい(笑)。
龍太郎も惚れ込んでいる神林が、実は男だっていつ気付くんだろう(笑)。
それから、初めは神林を女性だと思っていた時の秋も、彼が男だと気付かないままだったら、あのままキスしていそうだったな。
もっとみる▼