苦しみや憎悪という感情は深く暗く描かれておらず、総じて穏やかさが伝わった作品でした。ヒロインメルの出自の真相とその風景を一目見たいとの憧れと、母が語らなかった諸事情を求めての旅路に自分の誕生の地でその家を入手できたことが運命というのなら、ヒ
ーローアダムとの出会いは宿命でしょうか。そうなるように風が吹いているのが見えるようで、明け透け感は否めませんが不思議と心地よさを感じました。けれど、メルの母の気持ちを考えて私の気持ちは穏やかとはいかず、深堀りされていないので想像するのみとなっている事は、物語全体を見れば丁度良いのかもしれませんが、やっぱり何か1つ盛り上がりに欠けます。けれど、そこにメルの母が相応しいとは思えないのでそれはそのままにこのままが良いとも思えて複雑な心境。メルも素直なお嬢さんに育っている事からもそれでいいと思えるのです。では、アダムの弟の事象といきたいところですが、そこもスッパリ割愛ですか。アダムの両親の金婚式という祝いの席に似つかわしくないのは当然とも思えます。ハピエンを中心にして未来と和解を齎す意気込みを良く感じた作品でした。
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