「デカワンコ」で存分楽しませてもらった快感が忘れられず本作に来た。警察とはある意味対極のポジションに位置する組織で、彼ら視点の正義が展開される。
肩叩き棒で自分の頭打って結局は死亡する組長はじめ、おかしなキャラ揃い踏み、それだけで何か
物語を掻き回してくれる期待が満ち満ちている設定。
次から次へと新規投入されるキャラも、なぜか連載長期化による無理無理な絞り出し感を抱かせないところ、上手いなぁと舌を巻く。
外国発の新型肺炎による感染拡大防止の為の自粛期間中に、TVドラマが制作出来なくなったことによるドラマ再放送は、当時リアルタイムで見られなかった古典もラインナップに入れてくれて、本作を下敷きにした「ごくせん」を遅れ馳せながらも見ることが出来た。
TVでは描ける事に限界がある。漫画という舞台では彼らが暴れ回るのが見所なのだが、存在を礼賛出来ない以上、TVが学園の方を主軸にするのはやむを得まい。
設定だけいただいたようなものだな、とは思ってしまった。断然漫画は「義侠心」溢れる痛快コメディに仕上がっている。
しかしここまでテイストの異なる物に仕上がっていたとは!
本作は極道の世界描写の配分がとても高い。普段なら私は読まない類だが、この作品面白すぎて面白すぎて、堅気だったはずの篠原弁護士先生や沢田慎君に悲しいものを見ずに読み進めてしまえるのだ。
赤獅子の若大将に祭り上げられても笑えてしまう。
正の相手役であれ、と願い読み進める。
男は「ふんどしだ」論もお腹の皮が捩れる程笑わされた。
森本先生作品は今はキャラのビジュアルが美麗になったが、本作の頃はシンプルで各コマの切り方は素朴。少女向けでないどころか、大人も赤面しそうなギャグもアッケラカンと入っている。そこは、少女漫画好きの私の眼にはロマンス成分が少ないことをずっと感じて読んでいるのだが、ヒロインのヤンクミの気性に納得して、もの足りないとは思えないのだ。
(でもやっぱり9巻目辺りで入ってくる新展開の潮目には、おぉっ!?、とはなる。)
警察犬(ルビが「サツのワン公」、と振ってあり、漫画でないとこういうのは味わえない)の真似などイヤと本編で言ってる土佐犬「富士」の番外編が可笑しい。
どうしてこんなに、どんな作品も面白く出来るのか、恐ろしい。
物凄い才能だと感じ入っている。
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