スピード感ある場面展開でぐいぐい引き込んでくれる。絵に語らせてセリフ無しでも感覚に訴えてくる力が物凄い。だから説明調でなくて、それでいながら言葉でも力強くドラマが巧みに転がされて、見事な構成で。
静かに盛り上げ乍らジャズは実は熱いのだ
、と、画力でまざまざ。
ただ、定規線というのでしょうか、そのパターンの描写が余りにも多すぎ、それは作風なのだと思いながらも、私には厳しいところも。だが、音は波動なのに直線の表現というのも、明確な伝わり方するんだ、と実感。
胸もみシーンなどの男性向けならではっぽい箇所も、草むらに浴衣姿で直に座るのも、そんなもの見せあうの?というのも、なんだかちょっと見辛かった。
時間省略の表現が独特で贅沢にも見えるコマの使い方。コマの割り方にも演奏している空間の音の凄さを言いたい、という感じがする一方、人と楽器以外が滅却された構図に一抹の飽食感否めず。でも、音を絵で伝える挑戦は成功していて格好いい。
各巻末のボーナストラックがまた、とてもいい味出して、ドラマの深みが増している。
我流に修正を入れられる機会となる師とのやり取り、なんとなく主人公よりも師の目線が多く、新鮮さが良かったが、演奏技術的な意味での読者への親切心は薄い感じ。「この今日はどこにつながってんだべか」の言葉、とても響いてきた。
「したっけ」とか、仙台地域性が意図的に色付けに差し込まれ本編の個性にひと役。
恐いもの知らずの熱量は何をも突き抜ける、という直球の面白さを味わった。臨場感、各登場人物の個性や背景、人間関係にも目配りの濃いドラマがいい。
多少根性論臭は強い気がした。
リズムを示す工夫か、1頁に1段目2コマ、2段目4コマ、3段目6コマ、4段目8コマ、は驚いた。ただ、楽器はその分・・
でもリズムを表現する趣旨の前ではそんなことどうでも、という気分。
レビュータイトルは、読むとそう感じる、ドラマのために用意されたな、という展開に対して。
終了間近の「カムカムエヴリバディ」(NHK朝ドラ)もJAZZ、偶然だろうがタイミングが合ってる。
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