このレビューはネタバレを含みます▼
道士郎は両親が子供の頃離婚し、父親に引き取られてネバダ州で育った高校生。父は健在のようですが日本の母と兄の元で暮らすことになり帰国します。が、どう育てられたのか日本を誤解した外国人のように、武士やちょんまげや富士山にこだわる常識知らずの人になっていました。
そして自然の中で原住民族と共に暮らして鍛えられたのか、とんでもなく強いです。個人的には西森先生の漫画の中で二番目に強いと思います(一番は別作品の「石の人」かな)。
自らも武士と名乗り着物で過ごす彼に「殿」として目を付けられたのが、同じ高校に通う同級生の健助。小市民を地で行く大人しくことなかれ主義だった彼の視点が基本なので、道士郎よりも健助が主人公的になっていきます。
ズレてはいるものの筋の通った正義漢である道士郎に周囲が巻き込まれますが、最大の被害者が健助です。ですが、健助もまた道士郎に感化され、義のため人のため好きな子のために体を張っていくようになります。
健助は頭は回りますが弱いので、「考えるのは苦手だけど最強の道士郎」が守ってくれるからこその行動も多いのですが、健助自身のメンタルもどんどん強くなっていくんですね。道士郎のめちゃくちゃな活躍が面白いのですが、健助の成長物語でもあって感動させられるのが西森先生らしいお話です。面白いですよ。
(ちなみに健助とエリタン(ヒロイン)はこの作品のあとに描かれた「お茶にごす。」に一コマだけ出ていたりしますw)