親の持ってくる縁談に抵抗して勘当?されて生きてるヒロインの気概が頼もしくて、奉公先の城内で次々騒動を起こしても憎めないスケールで笑ってしまう。歴史物と呼んではいけない気にさせられるコメディだ。
謎解きにどんどん首を突っ込むヒロインは何にで
も積極性を発揮、使用人から上層部に至るまで、周囲を巻き込む、巻き込む。
特にプリンスが静観を保っていられなくなるところが、プリンスの人柄をじわじわ出していて、お城じゅうこの旋風に当たって振り回され、明るく新しくなっていく。
代々の言い伝えや両親祖父母の堕落した生活や、呪われたかの様な人生を見て、自分の幸福を求めることは半ば諦めていたプリンスに、ヒロインのパワフルな行動力が元気や意欲を注ぎ込んだ。
立場には責任が伴うことなど、コメディ要素外でも領地経営と城の運営など、また、ちょっとしたサスペンスタッチなど、盛り沢山ながら散漫ではなく、一冊をあれこれ楽しんで読み終える。
ふと、真面目にプリンスのことを想っているシーンには落ち着いた描写も入っており、メリハリが効いている。
侍女頭の話はもう1コマ2コマ、手前に伏線を仕込んでおいてくれれば読み易かったかと思う。
ヒロインの生き方は今なら当たり前でも、それが叶わなかった時代設定で主張する姿を描いており、その時代ゆえの不自由さを受け入れざるを得なかった大勢の女性に代わって、彼女が自分を貫くことを応援する気持ちにさせられる。
もっとみる▼