今のコマ送りの5倍速、いや何十倍速か、というくらい話の広がりがあり、しかも子どもでもない年齢的なポジションで青春の苦しいところと、まっしぐらなところを追求している。
自分で自分の胸のうちがわからない主人公。重層的な三角関係と、「エースをね
らえ!」を思わせるスポーツ学園ドラマ。スポ根のスパイスもしっかりと役目果たして現代のフワフワなハイスクールとは、全く異なる趣。
私は志賀公江先生作品の面白さに子供の頃に触れて以来、こうした電子書籍で奇跡の巡り会いを果たすまでが長かった。
それでも、知らなかったその他の作品群を読める機会が単純に嬉しい。
世の中、絵が古いとか、そういう感想を持つ人が、キャリアの長い先生に向けられていることがあるが、私はそれを気にせず読めてしまう。
発表時期、出版社や制作や編集サイドの好み、作風の変遷、個性、諸々の空気ごとトリップすれば気にならない。
もちろん、今当たっている漫画も好きなの物が一杯あるのだが。
本作品は、十代の激しさと熱情を、目まぐるしく移り変わる場面転換の中で溢れさせて、活力のスケールが違う、読んだあと、長編ドラマを圧縮させた当時の漫画の世界のスタイルにノスタルジーまで感じた。
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