衝撃的でした──ここまで完成された作品に出会ったのはどれくらい振りでしょう。
長編ファンタジーとだけあって本当にボリュームがありました。無駄に長い訳ではないので、途中で飽きたり嫌になったりすることなく完走できました。蜘蛛の巣のように張り巡
らされた伏線はきちんと回収され、「あの部分はどうなったの?放りっぱなし?」と思うこともなく『あ〜読みきった.』と満足感でいっぱいに満たされました。──後からは、そういえばあれは..と思う点も実際にはありますが気になりません。
本編の後の特別編で、無知でどうしようもなかったシオンを、本人も気付かないところでグレイルなりにずっと気に掛けていたことが露になり、胸のすく思いでした。無論本編でもその陰は書かれておりましたが、他の不幸や痛みがそれを隠してしまっていたように思いましたので。
"ファンタジー"ですのにカタカナ表現が少なかったです。通常カタカナや平仮名で記する名称も全て漢字表記にされていました。ルビが充られているので読むに困りませんでしたが、正式な漢字表記なのか作者さまの当て字・造語なのか判断が難しかったです。また表現方法や言葉も同様でした。活字を読むために辞書を引いたりネット検索するのは幼少期を除き初めてです。熟語・四文字熟語もなんと読むのか、読めても正確な意味は何か、この文脈にこの言葉や漢字はあっているのか..お話の腰を折って残念な時もありましたが、意味が不鮮明なまま読み続けるのが嫌で調べました──見つからない語もありました。そのくらい夢中で読みました。シオンと、グレイルと共に、胸を痛め涙も流しましたが幸せな終演で幕を閉じたことで感無量です。もう少しだけ...もう少しでいいので二人と、二人を取り巻く仲間たちの姿を見ていたいです。いつの日か番外編・特別編で会えますよう‥
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