渡りの湊と申します。壊れた足踏みミシンを直したら、亡くした夫がわざと残していた軋みまで消してしまいました(谷崎あわ )の注意事項

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ライトノベル
渡りの湊と申します。壊れた足踏みミシンを直したら、亡くした夫がわざと残していた軋みまで消してしまいました
1巻配信中

渡りの湊と申します。壊れた足踏みミシンを直したら、亡くした夫がわざと残していた軋みまで消してしまいました NEW

800pt/880円(税込)

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作品内容

【この作品は生成AIを使用しています】

渡りの湊、二十八。壊れてもう直らぬと言われた古い設備や道具や建物を、道具箱ひとつ負って町から町へ直して回る、渡り職人だ。だが湊がほんとうに直しているのは物ではない。その物に縛られて止まったまま動けずにいる、一人の人間の時間のほうだった。晩夏、湊は山あいの楢戸町に着き、湯を落として久しい銭湯・鶴の湯にひと部屋を借りる。煙突から一筋も煙の上がらぬその湯屋の、ぶっきらぼうな主・冬吾との、遠い距離を測りながら。
最初の一件は、仕立て屋の後家・須賀の壊れた足踏みミシンだった。湊はそれを完璧に直し、滑らかに動くようにする。ところが須賀はかえって沈んだ。亡夫が生前、ペダルにわざと当て布を噛ませて残していた軋みを、湊が直しきって消してしまったのだ。湊は自分の間違いに気づき、直したものを元の不完全な状態へ直し戻して、亡夫のつけた軋みと当て布を復元する。須賀は久しぶりにペダルを踏み、耳になじんだその軋みを聞いて一人で泣き、ミシンを孫娘に譲ると静かに決めた。
直してよい物ばかりではなかった。閉じた映画館の映写機を、湊は追悼上映のために直そうとして、直してくれるなと拒む館主・日野を説き伏せてしまう。回りだした最後のフィルムは、日野が息子を亡くした夜で止めていた時間そのものだった。湊は過ちを悟り、映写機を再び止め、壊れたまま抱えて生きる日野を受け入れる。町を出た兄を待つ青年の壊れた自転車は、最後の一箇所だけを本人の手に直させ、兄に会いに発たせた。そして冬吾もまた、先代が途中で死んだ大釜を止めたまま抱えていた――湊の道具箱の底に、六年ねじを巻けずにいる師匠の懐中時計が沈んでいるのと、同じように。初冬、楢戸を発つ橋のたもとで、湊は油紙を解いてその時計のねじに指をかけ、けれど今日もまだ巻かず、以前より少しだけ緩く結び直して、また次の町へと歩いていく。
本作は「渡りの湊」シリーズ第1巻(全4巻・完結)。

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  • 渡りの湊と申します。壊れた足踏みミシンを直したら、亡くした夫がわざと残していた軋みまで消してしまいました

    800pt/880円(税込)

    渡りの湊、二十八。壊れてもう直らぬと言われた古い設備や道具や建物を、道具箱ひとつ負って町から町へ直して回る、渡り職人だ。だが湊がほんとうに直しているのは物ではない。その物に縛られて止まったまま動けずにいる、一人の人間の時間のほうだった。晩夏、湊は山あいの楢戸町に着き、湯を落として久しい銭湯・鶴の湯にひと部屋を借りる。煙突から一筋も煙の上がらぬその湯屋の、ぶっきらぼうな主・冬吾との、遠い距離を測りながら。
    最初の一件は、仕立て屋の後家・須賀の壊れた足踏みミシンだった。湊はそれを完璧に直し、滑らかに動くようにする。ところが須賀はかえって沈んだ。亡夫が生前、ペダルにわざと当て布を噛ませて残していた軋みを、湊が直しきって消してしまったのだ。湊は自分の間違いに気づき、直したものを元の不完全な状態へ直し戻して、亡夫のつけた軋みと当て布を復元する。須賀は久しぶりにペダルを踏み、耳になじんだその軋みを聞いて一人で泣き、ミシンを孫娘に譲ると静かに決めた。
    直してよい物ばかりではなかった。閉じた映画館の映写機を、湊は追悼上映のために直そうとして、直してくれるなと拒む館主・日野を説き伏せてしまう。回りだした最後のフィルムは、日野が息子を亡くした夜で止めていた時間そのものだった。湊は過ちを悟り、映写機を再び止め、壊れたまま抱えて生きる日野を受け入れる。町を出た兄を待つ青年の壊れた自転車は、最後の一箇所だけを本人の手に直させ、兄に会いに発たせた。そして冬吾もまた、先代が途中で死んだ大釜を止めたまま抱えていた――湊の道具箱の底に、六年ねじを巻けずにいる師匠の懐中時計が沈んでいるのと、同じように。初冬、楢戸を発つ橋のたもとで、湊は油紙を解いてその時計のねじに指をかけ、けれど今日もまだ巻かず、以前より少しだけ緩く結び直して、また次の町へと歩いていく。
    本作は「渡りの湊」シリーズ第1巻(全4巻・完結)。
  • 渡りの湊と申します。二度と海へは出ぬと決めた漁師の焼玉エンジンを、頼まれたとおりに直したら、打ちのめしてしまいました
    8/15(土)発売予定

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    800pt/880円(税込)

    渡りの湊、二十八。壊れて直らぬと言われた古い物を、道具箱ひとつで町から町へ直して回る渡り職人だが、湊がほんとうに直すのは物ではなく、その物に縛られて止まった人の時間のほうだ。冬、湊は海沿いの町・潮凪に着く。浜辺では、ゼンマイ仕掛けのブリキ舟をうまく走らせられずに悔しがる少年・潮太が湊に懐いた。そして楢戸を離れないはずの冬吾が、道具箱ひとつ提げて突然、湊を訪ねてくる――鶴の湯を人手に貸す算段をつけ、止まった釜を手放しかけて。
    万屋のトキの口利きで、湊は浜に上げられたままの網代の焼玉エンジンの漁船『凪』を検分する。網代は、海に出るつもりはないのにエンジンだけは動くように直せと言う。その矛盾を測りかねながら、湊は頼まれたとおりにエンジンを直し、火を入れて動かしてみせた。だが、ぼっ、ぼっ、と鳴る鼓動を聞いた網代は打ちのめされた。八年前、弟と沖へ出た時化の夜、このエンジンが止まって弟だけが波に攫われた。網代はほんとうは、もう直らないと言ってほしかったのだ。湊は取り返しのつかない過ちを悟る。網代はただ一度だけ、湊の直した舟で弟の攫われた海へ出て手を合わせ、それきり二度と海には出ないと告げる――湊を許しはしないまま。
    湊は、冬吾を釜へ帰そうと「お前は楢戸で自分の釜に火を入れろ」と突き放し、傷つけていた。だが自分こそ師匠の時計のねじを六年巻けずにいる。その欺瞞に気づいた湊は、冬吾に詫びて浜で和解する。冬吾は独りで釜に火を入れるために楢戸へ帰ると決め、二人は互いの止まった物を宙に置いたまま別れた。潮太とトキに見送られ、湊は鳴らない鈴と鶴の湯の木札と師匠の時計を道具箱の底に負い直して、次の海沿いの町へ発つ。その背へ、潮太の声がいつまでも追いかけてきた。「また来てね! 今度はあの舟の音、一緒に聞こうね!」
    本作は「渡りの湊」シリーズ第2巻(全4巻・完結)。
  • 渡りの湊と申します。九年止まった織機を直し、亡き夫の織りかけの反物を、あなたの手で織り上げてはどうかと勧めてしまいました
    8/15(土)発売予定

    800pt/880円(税込)

    渡りの湊、二十八。壊れて直らぬと言われた古い物を、道具箱ひとつで町から町へ直して回る渡り職人。だが湊がほんとうに直すのは物ではなく、その物に縛られて止まった人の時間のほうだ。初夏、湊は霧に沈む山あいの町・霧生に着き、畳んだ製糸場の一間を借りる。楢戸の冬吾からは、竈の前には立てたがまだ火を入れられずにいる、と省造の郵便で手紙が届く。湊自身、師匠の止まった懐中時計をいまだ胸に抱えたまま、その報せに胸を騒がせた。
    元織元の女主人・多喜の力織機は、九年前、夫が霧生織の反物を織り上げる途中でその前に倒れて死んで以来、半分だけ織られた反物を経糸に張ったまま止まっている。湊は機を直して経糸を張り直し、「あなたの手で織り上げれば区切りがつく」と多喜に織り上げを勧めて迫った。ところが動きだした機を前に、多喜は打ちのめされる。機を止めたまま夫の半端を守っていたかったのだ、勝手に区切りをつけさせるな、と。湊は二度目の過ちを悟る。ちょうどそのころ、冬吾からの二通目の手紙には「いつまでも待たせるのは酷だから、俺のことは忘れて次へ進んでくれ」と書かれていた。突き放されて初めて、湊は自分が多喜にしたことの痛みを知る。
    直すことも直さぬことも、自分が決めることではなかった。子どもの絶えた分教場に一人残る元教員・登の、鳴らなくなった足踏みオルガンを、湊は六年ぶりに鳴らす。それは遠い町へ出た教え子へ届けたい歌で、直したことがかえって登を軽くした――同じ「直す」手が、多喜には刃に、登には救いになった。湊は多喜に詫びるが、多喜は詫びは受けても、娘の佐世のことも湊のことも許すとは言わない。湊は経糸を元の緩みに戻し、半織りの反物を夫の残したとおりに機へ張り直した。そして突き放す冬吾へ「忘れはしない、待つのもやめない、ただ約束で縛りもしない」と返事を書き、道具箱の底の師匠の時計を六年ぶりに油紙から出して分解し、埃を払い油を差す――手入れはするが、ねじは巻かない。許されぬまま霧生を発つ湊の背に、登の送りの歌の余韻だけが、機の音の絶えた谷から細く追ってきた。
    本作は「渡りの湊」シリーズ第3巻(全4巻・完結)。
  • 渡りの湊と申します。四年搾れずにいた造り酒屋の最後のもろみを、よかれと思って、あるじの代わりに搾ってしまいました
    8/15(土)発売予定

    800pt/880円(税込)

    渡りの湊、二十八。壊れて直らぬと言われた古い物を、道具箱ひとつで町から町へ直して回る渡り職人。だが湊がほんとうに直すのは物ではなく、その物に縛られて止まった人の時間のほうだ。晩秋、湊は雪の早い盆地の町・霜月に着く。祖父の割れた唐臼を踏めずにいる少女・すずに湊は、三巻までのしくじりに懲りるあまり用心が過ぎ、「わざと壊して遺したのでは」と深読みして手を貸さず、かえって傷つけてしまう。だが唐臼には深い謂れなどなく、ただ杵が割れていただけだった。湊は杵を挿げ替えてあっさり直し、すずは搗いた米で病の祖母に甘酒を作って、なんの含みもなくただ喜んだ。用心もまた、時に人を突き放す刃になる。
    元造り酒屋『霜月屋』の主・宇八の槽は、四年前に父・宇兵衛が最後の仕込みのもろみを搾る途中で死んで以来、止まったままだった。宇八は父に「俺の酒を超えてから一人前だ」と言われ、搾れば父に及ばぬのを思い知るのが怖くて、酒袋を槽に残して手を出せずにいた。湊は初めて師匠の止まった時計を人に――宇八に見せ、六年ねじを巻けずにいることを打ち明ける。心をほどいた宇八は本当の理由を語った。だが湊は、宇八を怖れから救おうとして、父の最後のもろみを宇八の代わりに自分の手で搾ってしまう。槽口から新酒が垂れるのを見た宇八は激昂した。あれは俺が搾らねば意味のない親父の酒だ、と。湊は当人の手から仕事を奪った過ちを悟る。
    ちょうどそこへ、独りで釜と格闘する冬吾から「渡り歩きなどやめて楢戸に腰を落ち着けてくれ」と迫る手紙が届く。湊は、自分がたった今宇八にしたことと同じことを、されていた。宇八は詫びを聞いても、勝手に搾った酒のことも湊のことも許さない。それでも湊は逃げず、宇八がいつか自分の手で搾れるよう、槽を洗い新しい仕込みの支度だけを黙って整える。宇八はなお許さぬまま、湊の搾った新酒を父への手向けに雪へ静かに注いだ。湊は冬吾へ「渡り職人はやめない。だがそれはあなたを捨てることではない。待つのはやめないが、縛られもしない」と返事を書き、道具箱の底の時計を出して竜頭に力をかける――あと一息で動く手応えを指に感じながら、それでも巻かず、初めて油紙にしまわずに胸の内ポケットへ移した。許されぬまま雪の霜月を発つ湊の足あとを、降りしきる雪が一つずつ消していく。
    本作は「渡りの湊」シリーズ第4巻(全4巻・完結)。

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