毒を盛ったと名指しされた渡り医者ですが、脈帳を縦に読み直したら、村の産婆が写しを抱えて来るたび上がりこんでしまわれます(来栖かがり )の注意事項

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漫画(まんが)・電子書籍のコミックシーモアTOPTL(ティーンズラブ)TL小説Realize出版C-Trap ROMANCE毒を盛ったと名指しされた渡り医者ですが、脈帳を縦に読み直したら、村の産婆が写しを抱えて来るたび上がりこんでしまわれます毒を盛ったと名指しされた渡り医者ですが、脈帳を縦に読み直したら、村の産婆が写しを抱えて来るたび上がりこんでしまわれます
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毒を盛ったと名指しされた渡り医者ですが、脈帳を縦に読み直したら、村の産婆が写しを抱えて来るたび上がりこんでしまわれます 発売予定

830pt/913円(税込)

8/17(月)発売予定

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作品内容

【この作品は生成AIを使用しています】

谷筋に四十二戸。この村に井戸は一つしかなく、朝と夕に百八十人がそこへ通う。五升の手桶で七十二杯、毎日三石六斗が、あの一つの穴から上がってくる。
梶井宗庵、三十二。二十の年に師の家を出て、東海道の宿場を振り出しに十二年、村々を回ってきた渡り医者である。脈帳が十八冊ある。誰の脈をいつ取ったか、一息にいくつ打ったか、舌の色と、本人が言ったことを五字か六字で。自分にしか読めない崩し字で書き、毒になりうる薬にだけ丸をつける。日で読み、名で読まない。同じ土地に留まらない医者が荷を軽くするための決め方で、十二年そうしてきた。
四月十八日の未明、庄屋の作兵衛が死んだ。前の晩に附子を一分入れた煎じ薬を煎じて、枕もとまで運んだのは宗庵である。一分は米粒を七つ八つ並べたほどしかない。年寄役の越智半右衛門は残りの入った椀を預かり、それを辻の榎の下へ持ち出して、三十人の前で宗庵の名を出した。御代官所へ届けが出る。黒白が付くのは早くて三月、長ければ半年。そのあいだ村においでいただくのがよろしい、と言われた。
その晩、宗庵は去年の秋の冊を繰った。作兵衛の名が十月から急に増えている。十月に三度、十一月に四度、十二月に五度。訴えの欄はどれも同じ六字だった。水のむとくだる。十八度、同じ六字を書いたのは宗庵の手であって、宗庵はその十八度を一度も並べて読んでいない。
そして産婆の志水ふさ、二十九。十八の年から十一年で百三人を取り上げた女で、返事を待たずに草履を脱いで上がってくる。夜どおしで脈帳を村の者に読める大きい字へ写し、井戸端で日付と六字だけを抑揚をつけずに読み上げる。写しには宗庵の名を書かない。名が入っていたら村の者は中身を読まずに名を読むからだという。取り上げの仕事を人質に取られても、束を抱えて上の家の玄関へ通い、受け取られなかった紙の上へまた一枚置いてくる。回るうちに束は厚みが倍になり、増えた半分は村の者が裏へ書き足した字になった。
人足頭の削った板の束。薬売りの荷の覚えにある五百匁。寺男が四十年つけてきた帳には、この二年で掘った穴が二十三ある。並みの年なら五人だという。名の下に丸をつけてきた男が、自分の身の証より先に、いま倒れている者へ間に合わせるまでの、四月の未明から十月の二十日まで。時代小説・全10章完結。

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作品ラインナップ 

  • 毒を盛ったと名指しされた渡り医者ですが、脈帳を縦に読み直したら、村の産婆が写しを抱えて来るたび上がりこんでしまわれます
    8/17(月)発売予定

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    830pt/913円(税込)

    谷筋に四十二戸。この村に井戸は一つしかなく、朝と夕に百八十人がそこへ通う。五升の手桶で七十二杯、毎日三石六斗が、あの一つの穴から上がってくる。
    梶井宗庵、三十二。二十の年に師の家を出て、東海道の宿場を振り出しに十二年、村々を回ってきた渡り医者である。脈帳が十八冊ある。誰の脈をいつ取ったか、一息にいくつ打ったか、舌の色と、本人が言ったことを五字か六字で。自分にしか読めない崩し字で書き、毒になりうる薬にだけ丸をつける。日で読み、名で読まない。同じ土地に留まらない医者が荷を軽くするための決め方で、十二年そうしてきた。
    四月十八日の未明、庄屋の作兵衛が死んだ。前の晩に附子を一分入れた煎じ薬を煎じて、枕もとまで運んだのは宗庵である。一分は米粒を七つ八つ並べたほどしかない。年寄役の越智半右衛門は残りの入った椀を預かり、それを辻の榎の下へ持ち出して、三十人の前で宗庵の名を出した。御代官所へ届けが出る。黒白が付くのは早くて三月、長ければ半年。そのあいだ村においでいただくのがよろしい、と言われた。
    その晩、宗庵は去年の秋の冊を繰った。作兵衛の名が十月から急に増えている。十月に三度、十一月に四度、十二月に五度。訴えの欄はどれも同じ六字だった。水のむとくだる。十八度、同じ六字を書いたのは宗庵の手であって、宗庵はその十八度を一度も並べて読んでいない。
    そして産婆の志水ふさ、二十九。十八の年から十一年で百三人を取り上げた女で、返事を待たずに草履を脱いで上がってくる。夜どおしで脈帳を村の者に読める大きい字へ写し、井戸端で日付と六字だけを抑揚をつけずに読み上げる。写しには宗庵の名を書かない。名が入っていたら村の者は中身を読まずに名を読むからだという。取り上げの仕事を人質に取られても、束を抱えて上の家の玄関へ通い、受け取られなかった紙の上へまた一枚置いてくる。回るうちに束は厚みが倍になり、増えた半分は村の者が裏へ書き足した字になった。
    人足頭の削った板の束。薬売りの荷の覚えにある五百匁。寺男が四十年つけてきた帳には、この二年で掘った穴が二十三ある。並みの年なら五人だという。名の下に丸をつけてきた男が、自分の身の証より先に、いま倒れている者へ間に合わせるまでの、四月の未明から十月の二十日まで。時代小説・全10章完結。

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