広間で立ったまま笑われた娘ですが、香蔵の鍵を預かって荷を検めていたら、香商が検めるたび市より先に荷を見せてくれます(汐見ふゆの )の注意事項

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漫画(まんが)・電子書籍のコミックシーモアTOPTL(ティーンズラブ)TL小説Realize出版C-Trap ROMANCE広間で立ったまま笑われた娘ですが、香蔵の鍵を預かって荷を検めていたら、香商が検めるたび市より先に荷を見せてくれます広間で立ったまま笑われた娘ですが、香蔵の鍵を預かって荷を検めていたら、香商が検めるたび市より先に荷を見せてくれます
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広間で立ったまま笑われた娘ですが、香蔵の鍵を預かって荷を検めていたら、香商が検めるたび市より先に荷を見せてくれます 発売予定

830pt/913円(税込)

8/15(土)発売予定

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作品内容

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鼻の利く無粋なお嬢さま。潮見の市でセラフィーネ・ドリンガーがそう呼ばれるようになって、三年になる。
坂の町である。丘の上にドリンガー家の屋敷があり、坂を半時ほど下ると港の市が立つ。市の北側、日の入らない一町だけが香の店の並びで、真昼でも夕方のような色をしている。
三年前、十九の春の婚約披露の席で、セラフィーネは贈られた練り香十二壺のうち一つの蓋を開け、客二十人の前でこれは混ぜ物ですと言い当てた。言い当てたうえで、一壺二十枚の品ですと値まで言った。婚約は一月ももたずに壊れた。持参金の金貨七十枚は箱ごと戻り、三年一枚も減っていない。年に十一の家から来ていた招きは二つになり、あの日の客のうち口をきいた者は三人しか残らなかった。彼女には前の生の記憶がある。焼けた蔵や割れた荷や沈んだ船の、失われた物に額を書き込んで人に言い渡す仕事だった。だから人の不幸を前にしても、最初に出てくるのが数になる。
春の市の日、セラフィーネは北の並び三軒目、藍の暖簾の店で、八十と彫った札のついた壺を、松脂が三分の一と言い当てる。店の主人ハディム・ナウリは二十七。十二で隊商に入り、香を運んで十五年、一度も値を下げたことがない男である。彼は札を下げるかわりに棚の奥から本物を出し、同じ八十枚で売った。そのうえで、三年前あの広間へ十二壺を納めたのは自分だと自分から名乗り、あなたの見立ては正しかったと告げる。
屋敷の香蔵の鍵と年に銀貨六百枚を父から任されたセラフィーネは、書付を三度書き直して四つの項を立て、店に置いてくる。荷を検める一度が銀貨十五枚。市より先に品を見せる一度も銀貨十五枚。同じ額を両側に立て、どちらからでもやめられる。やめるときは借りを最後の一行まで精算する。五日後、ハディムは待たせた五日ぶんの銀貨五枚を先に払い、その紙を受けた。
夏の荷揚げ場で、二人は隊商の荷を検める。三荷で四十五枚を、彼は十五枚ずつ三つの山に分けて置いた。一つの山でも同じ額ですと言うと、同じ額ですが三度ぶんには見えませんと返ってくる。その日、彼は八年外したことのない木札を襟から引き出した。シャハラ。四代前、砂の中で水の匂いを嗅ぎ当てた者に家が与えた呼び名で、家に一枚しかない。持てるのは一人だけである。
ただ、この人には荷の前でまばたきを二つするあいだ止まる癖があった。値を立てるときに一息止まる目利きなど、弟子のミナは四年で一度も見たことがないという。
言い当てた娘と、値を下げない商人の帳が、最後の一行まで消えるまでの、春から初冬まで。異世界転生の恋物語・全10章完結。

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  • 広間で立ったまま笑われた娘ですが、香蔵の鍵を預かって荷を検めていたら、香商が検めるたび市より先に荷を見せてくれます
    8/15(土)発売予定

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    830pt/913円(税込)

    鼻の利く無粋なお嬢さま。潮見の市でセラフィーネ・ドリンガーがそう呼ばれるようになって、三年になる。
    坂の町である。丘の上にドリンガー家の屋敷があり、坂を半時ほど下ると港の市が立つ。市の北側、日の入らない一町だけが香の店の並びで、真昼でも夕方のような色をしている。
    三年前、十九の春の婚約披露の席で、セラフィーネは贈られた練り香十二壺のうち一つの蓋を開け、客二十人の前でこれは混ぜ物ですと言い当てた。言い当てたうえで、一壺二十枚の品ですと値まで言った。婚約は一月ももたずに壊れた。持参金の金貨七十枚は箱ごと戻り、三年一枚も減っていない。年に十一の家から来ていた招きは二つになり、あの日の客のうち口をきいた者は三人しか残らなかった。彼女には前の生の記憶がある。焼けた蔵や割れた荷や沈んだ船の、失われた物に額を書き込んで人に言い渡す仕事だった。だから人の不幸を前にしても、最初に出てくるのが数になる。
    春の市の日、セラフィーネは北の並び三軒目、藍の暖簾の店で、八十と彫った札のついた壺を、松脂が三分の一と言い当てる。店の主人ハディム・ナウリは二十七。十二で隊商に入り、香を運んで十五年、一度も値を下げたことがない男である。彼は札を下げるかわりに棚の奥から本物を出し、同じ八十枚で売った。そのうえで、三年前あの広間へ十二壺を納めたのは自分だと自分から名乗り、あなたの見立ては正しかったと告げる。
    屋敷の香蔵の鍵と年に銀貨六百枚を父から任されたセラフィーネは、書付を三度書き直して四つの項を立て、店に置いてくる。荷を検める一度が銀貨十五枚。市より先に品を見せる一度も銀貨十五枚。同じ額を両側に立て、どちらからでもやめられる。やめるときは借りを最後の一行まで精算する。五日後、ハディムは待たせた五日ぶんの銀貨五枚を先に払い、その紙を受けた。
    夏の荷揚げ場で、二人は隊商の荷を検める。三荷で四十五枚を、彼は十五枚ずつ三つの山に分けて置いた。一つの山でも同じ額ですと言うと、同じ額ですが三度ぶんには見えませんと返ってくる。その日、彼は八年外したことのない木札を襟から引き出した。シャハラ。四代前、砂の中で水の匂いを嗅ぎ当てた者に家が与えた呼び名で、家に一枚しかない。持てるのは一人だけである。
    ただ、この人には荷の前でまばたきを二つするあいだ止まる癖があった。値を立てるときに一息止まる目利きなど、弟子のミナは四年で一度も見たことがないという。
    言い当てた娘と、値を下げない商人の帳が、最後の一行まで消えるまでの、春から初冬まで。異世界転生の恋物語・全10章完結。

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