祖母を送った分家の娘ですが、一日十一の刻限を守りつづけたら、動けぬ当主が刻限のたび掌を上に向けて出しておられます(海堂すみれ )の注意事項

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漫画(まんが)・電子書籍のコミックシーモアTOPTL(ティーンズラブ)TL小説Realize出版C-Trap ROMANCE祖母を送った分家の娘ですが、一日十一の刻限を守りつづけたら、動けぬ当主が刻限のたび掌を上に向けて出しておられます祖母を送った分家の娘ですが、一日十一の刻限を守りつづけたら、動けぬ当主が刻限のたび掌を上に向けて出しておられます
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祖母を送った分家の娘ですが、一日十一の刻限を守りつづけたら、動けぬ当主が刻限のたび掌を上に向けて出しておられます 発売予定

830pt/913円(税込)

8/15(土)発売予定

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作品内容

【この作品は生成AIを使用しています】

淡島の家の娘さんで、間違いございませんか。詰所の障子を引いた人は、わたしの顔をひととおり見てから、手にした帳面のほうへ目を落とした。日付、刻限、入る者、続柄、用向き、確かめた者。欄は六つでございます。
続柄の欄には、分家の娘、と書かれた。用向きの欄は空のまま伏せられた。
淡島穂乃香、二十六。二十の年に祖母が寝ついて、それから里の診療所の付き添い婦に入り、去年の暮れまで続けた。数えれば六年になる。父が死んで、去年その祖母を送ってからは、川向こうの家に住んでいるのはわたしひとりだった。
坂の上の本家の当主、蒼井信基、三十九。三年前まで工場を三つ持って人を四百人使っていた人が、腰から下が動かなくなって、寝間から出ない。あんたが四人目だ。三人とも三日ともたなかった。
触るな。初めて寝間に入った日に言われたのはそれだけだった。踵は紫に近い色になっていて、敷布には皺が寄っている。わたしは三日かけて手順を作り直し、一日に十一の刻限を自分で決めた。壁に紙を貼って、その十一を書いた。三枚継ぎの紙だ。
毎日入れろ、とこの人は言う。三年ぶりに湯へ入れたあとで、そう言った。理由はずっとあとになって分かる。
淡島の家には四十七万の借財がある。それが去年の暮れに消えていた。落ちとる、と里の酒屋が言う。二万三千五百円を十八回、誰かが運んだ。
三年前まで、この人の家は工場を三つ持っていた。いまは寝間から出ない当主として、親族会に名代の席だけを与えられている。家憲では、縁組の議は親族会が決めることになっている。
座敷では親族が縁談を進めている。北の家の三女。どこの者でもない女が、本家の当主の身体に毎日触っておる。そう言われた席で、わたしは初めて言い返した。刻限を決めているのは、わたしです。
三年前の十月十四日、夜十時二十分。里の診療所の受付の控えに、淡島穂乃香、二十三歳、右膝打撲、雨に濡れ、と書いてある。役場への届出は十時四十分。二十分だけ、合わない。
わたしは、三年ばかり前の、ある一日を丸ごと覚えておりません。
刻限のたび、この人は右手だけを布団の外へ出して、掌を上に向けたまま置く。誰も何も載せない。その掌が六度出てくるまでのお話です。TL長編小説・全10章完結。

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  • 祖母を送った分家の娘ですが、一日十一の刻限を守りつづけたら、動けぬ当主が刻限のたび掌を上に向けて出しておられます
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    830pt/913円(税込)

    淡島の家の娘さんで、間違いございませんか。詰所の障子を引いた人は、わたしの顔をひととおり見てから、手にした帳面のほうへ目を落とした。日付、刻限、入る者、続柄、用向き、確かめた者。欄は六つでございます。
    続柄の欄には、分家の娘、と書かれた。用向きの欄は空のまま伏せられた。
    淡島穂乃香、二十六。二十の年に祖母が寝ついて、それから里の診療所の付き添い婦に入り、去年の暮れまで続けた。数えれば六年になる。父が死んで、去年その祖母を送ってからは、川向こうの家に住んでいるのはわたしひとりだった。
    坂の上の本家の当主、蒼井信基、三十九。三年前まで工場を三つ持って人を四百人使っていた人が、腰から下が動かなくなって、寝間から出ない。あんたが四人目だ。三人とも三日ともたなかった。
    触るな。初めて寝間に入った日に言われたのはそれだけだった。踵は紫に近い色になっていて、敷布には皺が寄っている。わたしは三日かけて手順を作り直し、一日に十一の刻限を自分で決めた。壁に紙を貼って、その十一を書いた。三枚継ぎの紙だ。
    毎日入れろ、とこの人は言う。三年ぶりに湯へ入れたあとで、そう言った。理由はずっとあとになって分かる。
    淡島の家には四十七万の借財がある。それが去年の暮れに消えていた。落ちとる、と里の酒屋が言う。二万三千五百円を十八回、誰かが運んだ。
    三年前まで、この人の家は工場を三つ持っていた。いまは寝間から出ない当主として、親族会に名代の席だけを与えられている。家憲では、縁組の議は親族会が決めることになっている。
    座敷では親族が縁談を進めている。北の家の三女。どこの者でもない女が、本家の当主の身体に毎日触っておる。そう言われた席で、わたしは初めて言い返した。刻限を決めているのは、わたしです。
    三年前の十月十四日、夜十時二十分。里の診療所の受付の控えに、淡島穂乃香、二十三歳、右膝打撲、雨に濡れ、と書いてある。役場への届出は十時四十分。二十分だけ、合わない。
    わたしは、三年ばかり前の、ある一日を丸ごと覚えておりません。
    刻限のたび、この人は右手だけを布団の外へ出して、掌を上に向けたまま置く。誰も何も載せない。その掌が六度出てくるまでのお話です。TL長編小説・全10章完結。

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