いろんな作品に触れるにつれ、大抵のものには動じなくなったつもりでしたが、今回はページを捲るのが辛くて‥。一旦止まってページ数を確認したらまだ三分の一。また止まって確認したらまだ半分。そんな感じで読み進めました。
小学6年生から中学3年
生までを主に描いています。自身を振り返ると、青春の1ページでもあり、残酷な時代でもあったな‥と。大人が思うほど子どもではなく、血の通ってないようなことを出来てしまう、それでいて自分のことには物凄く繊細で。世界の広さに目を向けるほどの余裕はなく、学校と家が世界のほぼ全て。
「人の気持ちを考えましょう」と大人に言われても、それには想像力を培い、遍く学ぶことが必要なのだと今となっては分かる。「心を図る」物差しはあまりに頼りなく、曖昧に自分の中に定義づけられた「普通」以外をどうやって受け入れるのかを知らないし、「普通」が人それぞれ違うことも、他人を排除し傷つけるものになりうることにも気づかない。そしてそれは大人になると、さらに強固になってしまう。
学校教育や社会のせいだけではないのかもしれないけれど、皆と違うことをすることを否定され続けると、はみ出さないように用心深くなる。けれど「自分」とは何かが分からなくなり苦しくなってしまう。救いを一体どこに求めたら‥?と。私の場合はその一つが本でした。
愛を知り傷つくことは見返りでもある。けれど傷つく理由が、他者の理不尽な「普通」によるものだとしたら?自分に宿る想いを「気持ち悪いことで間違いだ」と否定され、自分すらそれを偽らざるを得なくなったら、どうやって愛を知るのだろう。愛を知って傷つくという以前の問題なのだと思います。
違うことが当たり前、「好き」という気持ちを他人の無責任な物差しで否定されない、好きな人にただ好きと言える時代に、そんな世界であるために必要なことは何だろう。大それたことではなく、まずは他者と世界を想像すること、それとほんの少しの歩み寄りなのかもしれません。主人公たちの生きる世界は、こんなにも狭く小さいけれど、少年たちは大人よりもずっと柔らかい。傷つき血を流しながらも愛することを知っていく。「普通」の足枷を少しでも外せるように、大人が、私が、まず変わらなければ。
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