「荒岩一味、金丸産業、営業主任だア」太い声が、それでも明るく聞こえてくるような楽しい本です。だって人は食べることが大好きだからです。美味しいものを食った思い出はいつまでたっても忘れることが出来ないのです。しかし、味そのものを口の中で思い出せ
と言われても、正確には出来ないのです。だからまた食べに行くのです。記憶と実感の差異は、何も味だけではないのですが、幾度となく実感を求めたくなるのが味なのです。さすがに、仏教でもいわれている、人間の五種の欲望、即ち、色・声・香・味・触、のうちの一つですなア。でも、どのような欲望でも、飽きるまで求め続けるのは良くないことです。飽きない程度に求めてこそ意欲が湧くというものです。そのようなややこしいことは出来ない、と思われる方もおられるでしょうが、簡単、簡単、心もお腹も皆八分目で終わることを徹底すればよいのです。しかし、一度、荒岩さんの弁当も食べてみたいですなア。
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