1巻は短篇連作の240ページ超え、2巻は1つのお話+描き下ろし短篇で320ページ超え。
同人誌発表作に描き下ろしを加えて刊行されており、著者の商業単行本中最もお気に入りの作品です。
解散した魔術ギルド、残された世界を滅ぼす魔術書、そして
魔術ギルドと敵対する騎士団。
スペクトラを始めとして、我が道を行くカオス、ちょっとうっかり者のキネティカ、策士クリスタ、自責に苦しむガーゴ、魔術師の面々のアクの強さが「魔術師」らしくてとても良い。魔術師スペクトラと騎士団ミサキちゃんの、異なる立場での友情が絶妙です。
著者の思考回路が好きで、今作での魔術師の在り方とか、2巻での「最強の魔法」の捉え方とか、その他もろもろ、私にはザクザク刺さります。
物語そのものも、組織と個人の思惑が絡み合って面白いんですが、何と言っても作品全体を覆う孤独感が素晴らしい。
人はみな独りでしかなく、そのひとりぼっちの自分のことすらままならない。
なんとも鬱でかなしさのある作品なのですが、隣に人が居てもどうにも孤独でさみしい時がある、そんな時に夜ひっそりと読みたくなります。
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著者個人サイトの『金魚王国の崩壊』(未完)が好きな人には買って間違い無いと思いますので、著者作品初見の方は、まずそちらを読んでみるのもおすすめです。
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