情の深さ、それ故に彼は過去の一件の傷の痛手が深く大きく、トラウマに長く囚われていた。
彼はヒロインの忠告にも自分が変わることが出来なかった。
家族を求めるヒロインの気持ちは理解出来るよう構成された筋立ては、彼の痛恨の心情の方は、ヒロイン
との関係の中で敢えて終盤迄説明を引っ張る。やっと口にした時、ヒロインは彼に過去との訣別を迫る。
彼がヒロインの元に帰る流れの方は、いかに彼女の存在が大切と判った、というありがちのパターン。
彼が素敵なので言うことなし。
過去の傷が面倒くさい男にしていたが、冷却期間にヒロインへの愛を認識できたのだから、終わり良ければ言うことなし。
ヒロインは元々自立した人間で序盤から好ましい。プロとして一本立ち出来て、さらに素晴らしい。
彼は観念的に父親になりたがったのではなく、しっかり父親となるべく具体的に準備行動していた、というところが、この彼の立派なところ。
ヒロインにはうっとうしい彼の言動のなかには、女性の妊娠に対する最大限の考慮が含まれており、私的にはここも密かな感動のツボだった。
HQに登場する女性の中には、お腹に子供がいるのに大きいショックを受けたり、負荷の高いエピソードが次々起こったりと、なんかなぁという話があったりする。
このストーリー、ヒロインは、彼のあれこれから自分が彼から信用されていないという気持ちにさせられるというくらいだったので、頭を冷やさせたのは正解だった訳だし、何より妊婦さんには心の平安のほうが大事という事でこの展開は二人には適切だったと思う。
ヒロインにメロメロになっているシーン、彼が妙に可愛いかった。HQはジャンルがロマンスなのにこういう場面が様になっていないことがある。
高井先生の場合、彼の、少し我儘に踏み込んで来るような熱を帯びた恋愛モードの絵は、ベッドシーンの裸体の絵よりもひょっとしてずっと恋人としての彼の男らしさを、見せてくれてる。
時々ヒロインの顔から女らしさが少な目なのが残念だ。
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