堕胎されてしまった前カノとの子供を取り返そうとするかのように 自分の子供を欲するヒーロージャレッド。自分の子供なのに 自らの意思でどうにもならない 男性としての立場に苦しみ、いかようにも出来る女性の行動に苦しみ憎んでも、結局男ではどうにもならない歯がゆさに打ちひしがれているのが物凄く伝わって、気の毒で仕方ない。彼の周りには金、金、金という女性ばかりなようで同情する。それと相反して、時間制限のある出産に、愛情を礎にして家族になれる男性を希望し探すが巡り会えず、結果 人工授精に希望を託したヒロインリーザが 女性としてとても悲しい。2人は、子供を希望してはいても お互いに事情を抱えている事を全く理解しようとしていない物語前半部分が まるで離婚を前提とした親権争いのそれと酷似していて酷く哀れだ。けれど、お互いがその事情を理解していく後半部分では、ジャレッドは、妊婦に対する配慮、育児の知識どちらも前向きでその下地作りに真剣に取り組んでいる姿勢が描かれていて安堵する思いだ。けれど、それらは過剰でリーザにストレスを与えるという裏目に出ていて苦笑した。しかし、どうにもジャレッドの過去への拘りが2人の着地地点を曖昧にする。過去の自分の子供に拘るあまりに、未来の子供への愛情と責任を御座なりにしている。医療ミスとはいえ お互いの子供を授かった2人が惹かれあう奇跡に臆病になっている ジャレッドにいつもなら狭量なヒーローと見切りをつけるところだが、彼の心中を察するに 今回はそれが出来ない。彼の境遇には そうするに足る理由があるのだ 心底ゾッとする。全ては彼の胸中にある。それに彼が気付くまで ただ祈り待つしかないリーザも哀れだが、このハピエンには心底ホッとした。