ただ、この素材をマンガや小説のような一本道の構成の媒体で十分に生かすのはかなり難易度が高かったように思う。
はっきりと言ってしまうと、これは選択肢でバッドエンドに直行するような構成のノベルゲーでやった方が素材を活かしやすく、評価が得られや
すかったはず。
また、物語の設定は練られており、一見面白そうなのに肝心の内容が徹頭徹尾陰鬱で否定的なのも問題点。
出てくるキャラクターがすべからくクズか異常者であり、共感できる人物がほぼいない。
序盤は極端な男尊女卑社会の比喩っぽく始まるのだが、話が進行するにつれて結局男も女も人間は全て本質的に醜悪な存在であるみたいな空気になり、読んでいてポジティブな感情が一切湧いてこない。
ただただ悲惨で憂鬱になるような悲劇的展開が繰り返されるだけなので、そういった話が苦手である場合かなり読むのがきついと思う。
エロはグロ・リョナ方向に振り切っているので、これまた読み手を選ぶ。
かといってダークな雰囲気に浸るような内容でもない。
人間の醜悪さや悪意を感じるための物語、というのが一番正しいだろうか。
結果として、転生ものとしての面白さはほぼ無く、パニックホラーものならば他に面白い作品があるよな、となってしまう。
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