勇者と魔王の物語、そのエピローグから始まる追憶の物語。
基本的に人との出会いと別れを繰り返していく、新たな仲間との淡々とした旅のお話なんですが、キャラがみんな立っていて面白いし、心理描写が丁寧で1話1話が本当に深い。
主人公は勇者パーテ
ィの魔法使いである長寿エルフのフリーレンで、旅先でかつて勇者一行に助けられた人たちと話しながら、フリーレンは彼らとの思い出を紡いでいきます。
人間との価値観の差や時間感覚のズレをストーリーに絶妙に織り込んでおり、回想も相まって面白くも切ない作品となっています。
種族が違うからこそ、10年共に旅をしていた時には理解できなかった彼らの言葉や行動、思いにようやく気づき、ドライさは変わらないながらも彼らに代わって実行していくフリーレンが本当に愛しいです。「ヒンメル(勇者)ならそうする」のセリフが最高に良い。
そんな静かに淡々と進むストーリーの中に入る流れるようなギャグや、時間経過を細やかな絵のみで表現しているのも見所です。
そして1話以降回想でしか出てこない勇者ヒンメルの存在感が、フリーレンだけでなく読者の中でもどんどん大きくなっていくのがわかるからすごい。
ヒンメルほど勇者という名に相応しい勇者は最近の作品ではあまり見ない気がします。
男女共におすすめできる良作ですが、あえて気になる部分を言うなら、戦闘シーンなど動きの描写が不得手なのかな〜といったところですかね。
まあでもこの作品は、戦闘よりも会話劇がメインなので。
そういった意味では、敵とバチバチやり合う迫力のある展開を求めている方には物足りないと感じるかと思います。終始淡々としていますからね。
【追記】マンガ大賞2021受賞おめでとうございます!納得の結果で大変嬉しいです。
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