ここ数年の間ではメディアでも注目されアニメ化もされた話題作でありながら、連載中にも関わらず名作の仲間入りを果たしたと言っても過言ではないほどの漫画である。設定や時間軸が画期的である点が高評価であるが、個人的に特筆すべき点は作品の「ささやかな展開」である。静かな雰囲気でゆったりとした物語の展開にも関わらず、吸い込まれるように作品に没頭してしまう。この作品が少年誌で連載されているのも興味深い。子供にも人気なのは間違いないが、作品中の描写はある程度人生経験を積んだ大人の方が響く部分が盛り込まれている。ささやかなユーモアを挟みながら、感情を揺さぶられるようなシーンが多く、子供にこれがわかるのか?と思わせる点でも他の漫画にはあまり見られない稀有な作風となっている。