約260ページ。短編中編の連作になっており、半分以上は著者個人誌の再録です。「人が人を殺すということ」を、感情論から離れて真摯に考える作品。その思考過程が、人造人間、クローン、生物兵器というSF設定によって増幅されて、非常に面白かったです(
息苦しいけど)。
全編通しての主人公、赤井柊の葛藤と苦しみが、私を捉えて離しません。
あとがきに書かれた「虫歯も思いやりじゃ治らない」という言葉が、著者作品を端的によく表していると思います。この言葉に共感を覚える人にはぜひ読んでほしい。
※ついでに、途中「二卵性」という言葉が出てきますが、「一卵性」の誤植です(初版時)。
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