双子設定で、そっくりなことを利用するHQの一つ。HQ定番メニュー。
ただ、この作品に描かれていた双子ならではのコンプレックスは、読んでいて納得させられるものがあった。
これまで、身近にも何組か接してきていながら、そんな奥底の心理を見せら
れた事もないのに、だ。
この物語のような状況で、ヒロインが特にそうした気持ちを強く持つのは、何だか余計に解る気がする。
兄弟でもある程度そうだが、身近なだけにいろいろな感情はあるし、ましてやプロポーズとか結婚とか、人生のビッグイベントだから、この話のような、そんな機微に触れてくる事になるかもしれない。
彼にしてみれば、そこは説明されない限り思い至らないとしても、この男性のキャラならば、むべなるかな、だ。結果的に軽率な振る舞いをしてしまうことになったから。彼はとてもおおらかなんだろうという気がする。
この男性、生活にお屋敷とか描写がなくてもお金持ちに見える。ハリウッドスターばり、表紙はジョージ・クルーニーに見紛うようでもあり、典型的な二枚目俳優のごときポジションで、パーティーでは目立つだろうなとか、そんな存在感。
お育ちの悪くなさそうな、ひねくれたところのない、いつも堂々としているような、読み進めるにつれ、そんなキャラに確信が行き、その人物によるヒロインへの、屈託のない好意のアピールが自然で、ストーリー随所に表される彼の正義感と、ピッタリ合う。
だからこその、ヒロインの逃げ姿勢にはすぐに理解はできない。こちら読者も、ストーリー上垣間見せただけで、ずっと解答の見えなかった、はっきりしないヒロインの秘密と共に、「何故?」、を追っかけることに付き合う。
ヒロインが自分を解放する場所を、彼は見ないでも既にプロポーズまで盛り上がっているし、ヒロインは、誰も知らない別の自分、才能溢れる個性をアピールする場として、そこでアイデンティティーをもう十分強力に確立できてた。彼にはその秘密の究明は想像できたものではなかったのに、やっと自分の目と耳ででよく理解出来たことに前向き。ヒロインに対してぶれない。
世の中秘密のない間柄はない。
けれども、秘密は、こうした顕れかたが理想かもしれない。
双子設定で、ロマンス対象である程身近に関わらず相手の区別のつかない人物がHQには沢山いるが、本作品はそこにからくりがない分、爽やかだった。
タイトルには違和感。
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