斬新な展開に面食らいましたが、新鮮で妙にリアルで生々しくて、ちょっぴり切なさのある兄弟愛の向こう側… 日常の片隅に潜む禁断の世界を覗き見る様な背徳感が堪らない
嗚呼 また一つ沼る作品に出逢ってしまいました。腹違いもあり得るのかな?って位に
似てないけれど実兄弟。兄の聞くに聞けない秘密を知ってしまった弟はその日から少しずつ壊れていき、何気ない一言の拡大解釈で思いもよらぬ行動に。どうしようもなく可愛い弟を斜め上をイク兄の包容力と手抜かり無しのテクでまるっと受け止める強めのブラコン?兄心??「色事にあたって火照る弟をなだめる兄」の構図に見えたけど、ひとつのキスで局面が変わり 2人沼に堕ちていくが… なる程、一時の気の迷いじゃなかったのね。兄の対象⇒男だと知り、内に秘めていた兄への想いが襖を開けさせてしまったんだろうな。対して兄も火種を抱えていたのか気付かないフリをしていたのか。アナトレセットの「馴れてなさ」を見ると余計に何でアレに出た?と思うけど、自己確認や無自覚に内在する弟への想いが拗れての…?と思ったりもする。2人の気持ちがシンクロする様にして引き寄せ合うも、見つめ合う瞳の奥には熱よりも切なさを感じてしまい、一線を越えた先にある虚しさが頭を過る。しかし シリアスに偏り過ぎずウブな弟の可愛さや「やっぱり そうだったか…」と兄の嬌声でニクイ答え合わせを差し込むのが良き。ラストの2人の表情の対比が印象的で 弟の兄へ想いは素直でシンプルなものに対し、兄の弟への想いは色んなものが交じり合って複雑で、愛が強い程 罪悪感も強くて辛いものがある。世間的には「兄弟失格、兄貴失格」かも知れないけれど、どうか自分を責めないで欲しい。全力で愛して欲しいし、受け止めてあげて欲しい。この2人、弟が遠征から帰って来てからが「本物」になるのでは… 物凄〜く続きを読みたいけれど、たっぷりと余韻を残す幕の下ろし方にグッと心を掴まれる。親父さん、毎晩 深酒をして鼾をガーガー掻いてくれ。そして 決して朝まで起きないように… 兄弟モノって2人だけの世界になりがちですが、上巻70P+下巻81Pと少ないページ数ながら背景の描き込みや人間関係、生活感がちゃんとあって兄弟のキャラが活きていました。カメラワークの様なカット割りやアングル、ブレ、陰影やトーンの使い方がとても効果的で新鮮で、間の取り方や台詞もセンスが光る作家さんだなと思いました
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