「今夜、悪夢になって会いに行く」帝国の辺境伯、褐色の獅子、名剣アスカロンの主。そして帝国の国境…空に届きそうなアルタス山脈と共にある「ルネーヴ」の主。「バルト・ハルシュタイン・フリドリッヒ・モレンハイツ侯爵」彼は偶然見かけた女と2人の子供を救うため、自身の愛馬の脚を斬り首に剣を突き刺した。「子供たちの父親を連れてこい。そいつに弁償させる」「夫はいません…」深い山に流れる湧き水のように青い瞳が、バルトを貫いた。「女でもできることなら、何でもします…」「何でも?」バルトは混乱と欲望のまま、3児の母であり未亡人のクレアを抱いた。しかしクレアにとって、自分が初めての男だったと知り…「なぜ俺に嘘をついた?」「何も望まないから、私を解放して」「お前が恐れるものは何だ?」春を迎えたルネーヴに、アルタスの冷たい東風が吹いた。「俺と結婚できないと思っているのか?もしくは、本当に結ばれると…?」どうしても捨てられない冷たく青い女。2人の前に、終わりの見えない残酷な運命が待ち構えていた。
アルタスの東風【タテヨミ】(103巻完結)