マヨ先生の作品を久しぶりに堪能させていただきました。今回の作品を読んで、今まで点と点だった作品達が、私の中で1つのラインでしっかり繋がったように感じました。振り返って見れば、先生の作品に出てくる登場人物は、その生い立ちに抱えているものがあり
つつもそれに折れることなく、不燃焼ながらも消化しつつ、社会を唾棄しつつも逞しく生きていてくれます。それだからでしょう、彼らが作り出す世界は、一般的ではないかもしれないですが、ユーモアに溢れ優しくて深いように感じます。偏見、固定概念、ヘイトを感じません。生きることの怖さと上手く折り合いをつけている。今回の主題である「堕落家族論」とは。堕落家族、つまり理想ではない家族。温かで寛容な家族の中で愛は育まれるとして、全ての人が健全な家族を持ち得ているのか。健全な家族を持たない人は必ずしも不幸に歪まなくてはならないのか。この「堕落家族」の人々は歪みながらも生は力強く、粘り強く、そこに特別な輝きを待てることを暗に示してくれるように感じました。生きる不安も、それでも生きていかなければいけない道徳も、先生の作品は読み手に押し付けはせず、ただそんな力強くいい加減な彼らを笑いの中で見せてくれ、信じさせてくれる。愛はそこにも育つのだと。このバランスの取り方は本当に難しいですよね。BL越えとはよく言いますが、確かに主題はそこではない作品で、ヒューマニズムとして完成度の高い作品ものでした。ありがとうございました。
もっとみる▼