「渋屋……歌姫は死んだんだ」。そう神野は告げた。かつて演歌の女王、ジャパニーズ・ブルースの歌姫と云われた青空つぐみ自らが歌作りを依頼した。作詞家の神野、作曲家の渋屋に。しかしレコーディングを目前にその歌姫が死んでしまう。幻の曲はお蔵入りとなっていた。今や芸能プロの社長となった神野は、その曲を復活させようと渋屋に話を持ちかけるも、かたくなに拒まれてしまう。「あの歌だけはヘタな奴に歌わせたかねえ」。あの時からずっと渋屋は、その曲が歌える新たな《歌姫》を探しているのだ……。そんな時、電車の中で赤ん坊に子守唄を歌う女性の歌声が耳に入ってきた。「この歌声だ!」。渋屋は必死で追いかけ声をかける。その女性は……ろくに日本語も話せないアメリカからやって来た帰国子女だった!? 新たな《歌姫》誕生なるか!? 木村晃子先生がお贈りする、歌に人生を賭けた男・渋屋と異国からやって来たエレンが奏でていく感動のヒューマン&ラブロマンスの名作!!