人類の殆どが、魔術と呼ばれる現象を操作できる世界。
その中でも、魔術を使えない者がいた。彼らは『獣の病』と呼ばれる奇病を患っており、魔術の代わりに常人ならざる能力を保有する。
そして『獣の病』の罹患者の体を素材とし、魔術器具『魔書』が作られていた。
『魔書』は通常一人では行使できない強力な魔術を扱うことができる、貴重な品だ。
そのため、『獣の病』の罹患者達は古くから『素材』として命を狙われ続けている。
この物語は、『魔書』の素材となる『獣の病』の罹患者、『魔書』を製作する職人『装幀師』、そして彼らの周囲に生きる『魔術師』達が数多織りなす悲劇の、ほんの一節。
舞台は、オペラ座の地下には至宝が眠り、それを暴こうとすれば怪人に命を狙われる・・・・・・そんな都市伝説が囁かれるパリの街。
装幀師を目指す青年・セザールと、赤髪の麗人エステル、そしてオペラ座の支配人・ペトロニーユの間で渦巻く愛情、殺意、そして獣の呪いがもたらした残酷な過去・・・運命に翻弄される男女の悲劇の物語。