とらわれた令嬢 1巻

すれ違い続けながらも愛を隠せていない二人にドキドキしました。 尾方先生の気品ある絵にも大満足です！

子供じみた痴話喧嘩に丸々一冊付き合わされてた。
セクシー場面の有無だけが大人用な訳ではないと思っている。
このような反抗が通用するとは、一体この話で何を見せつけられたのか？彼の辛抱？
ヒロインの実家を救い、妻自身の道探しも見守り自立支援迄したのに「冷酷な人」か。交換条件はエグいから徹底抗戦に遭い苦行僧3年。被害意識のやけに強い女の子が、覚悟もなく生家の財政のために結婚話を飲んだゆえの不幸？。

いちいちムキになる行動がみっともないし、却って立場からは厚かましいと感じる。人の言動は合わせ鏡、冷たく返せば冷たく返る。よくまぁ意地を張る。自分が傷ついた顔をして、あなたが何をして、彼は何をしたか。悉く避け続け、しかも、自分の危なっかしさ無自覚、自分てものが判っていない、面倒臭いタイプ。二十歳にもなって。年齢差が掴めないが、彼のビジュアル、脂ギッシュでない。ヒロインも彼の第一印象悪くないながら極端に走る。
私には彼女に深い同情は持ち得なかった。

こうなってくると、ヒロインが視覚的に可愛く見えなくて、甘ったれが鼻につく。彼が妻を野放図にして招いたか、それとも、根比べの極みなのかわからない。こじれの直りかけに最後一気に畳み掛ける「解説」。ずっと寡黙なニックだったのに、終盤に急遽饒舌になる、という私の好きではない展開で。


なんだか、バージンを捨てるって大変、という感慨に、耽ってしまった。愛し愛され、互いに愛をキチンと確認し合って、の夢は女の子なら誰でも持ってるとは思うが、自分で結婚話に合意した時点で腹を括らないのか。勿論愛無き結婚というのは悲しい。それでも、私には馬鹿馬鹿しく思えてならなかった。
世間知らずの割に、悪い男ひとり、悪いとは言えない男ひとり。

あれだけ感情的な拒絶の言葉を繰り出しながら、ただ周囲を振り回すに等しい気づき・告白の遅さ。失わなくてホント良かったね、だ。

トニーの犠牲に、当て馬の悲劇を見た思い。

当初星４つ付けたが、暫くしたら、3.5は切ってる感じがどうしてもしてきてしまい、下方修正。

ただ、家庭は経営に、子の養育も投資に、となぞらえられることはある。男性をお買い得物件であるとかないとか、そんな風に言うことは実際世の中無い訳じゃない。


読み返しているうち79頁以降が話にかっちり嵌まって光り出してきた。

二人ともトニーに礼を！
星数再再考し、4星。

若さゆえに表面的なものに囚われているセリーナ、経験や自信に裏付けられた手腕にプライドのあるニックとのすれ違いを克服、成就するラブストーリーの中に個々の人生を別々の目的で歩みながらも一つとなる結婚を描いている。このストーリーを読むにつけ「お金」が全てを左右するものであることをまざまざと思い知らされる気がするのは私だけだろうか。それにつけても「結婚」にはどんな形のものであれ愛情が不可欠である。