とらわれた令嬢
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とらわれた令嬢

尾方琳/サラ・ホーランド

トニー、殴られ損で気の毒 好青年だった

2019年10月17日
子供じみた痴話喧嘩に丸々一冊付き合わされてた。
セクシー場面の有無だけが大人用な訳ではないと思っている。
このような反抗が通用するとは、一体この話で何を見せつけられたのか?彼の辛抱?
ヒロインの実家を救い、妻自身の道探しも見守り自立支援迄したのに「冷酷な人」か。交換条件はエグいから徹底抗戦に遭い苦行僧3年。被害意識のやけに強い女の子が、覚悟もなく生家の財政のために結婚話を飲んだゆえの不幸?。

いちいちムキになる行動がみっともないし、却って立場からは厚かましいと感じる。人の言動は合わせ鏡、冷たく返せば冷たく返る。よくまぁ意地を張る。自分が傷ついた顔をして、あなたが何をして、彼は何をしたか。悉く避け続け、しかも、自分の危なっかしさ無自覚、自分てものが判っていない、面倒臭いタイプ。二十歳にもなって。年齢差が掴めないが、彼のビジュアル、脂ギッシュでない。ヒロインも彼の第一印象悪くないながら極端に走る。
私には彼女に深い同情は持ち得なかった。

こうなってくると、ヒロインが視覚的に可愛く見えなくて、甘ったれが鼻につく。彼が妻を野放図にして招いたか、それとも、根比べの極みなのかわからない。こじれの直りかけに最後一気に畳み掛ける「解説」。ずっと寡黙なニックだったのに、終盤に急遽饒舌になる、という私の好きではない展開で。


なんだか、バージンを捨てるって大変、という感慨に、耽ってしまった。愛し愛され、互いに愛をキチンと確認し合って、の夢は女の子なら誰でも持ってるとは思うが、自分で結婚話に合意した時点で腹を括らないのか。勿論愛無き結婚というのは悲しい。それでも、私には馬鹿馬鹿しく思えてならなかった。
世間知らずの割に、悪い男ひとり、悪いとは言えない男ひとり。

あれだけ感情的な拒絶の言葉を繰り出しながら、ただ周囲を振り回すに等しい気づき・告白の遅さ。失わなくてホント良かったね、だ。

トニーの犠牲に、当て馬の悲劇を見た思い。

当初星4つ付けたが、暫くしたら、3.5は切ってる感じがどうしてもしてきてしまい、下方修正。

ただ、家庭は経営に、子の養育も投資に、となぞらえられることはある。男性をお買い得物件であるとかないとか、そんな風に言うことは実際世の中無い訳じゃない。


読み返しているうち79頁以降が話にかっちり嵌まって光り出してきた。

二人ともトニーに礼を!
星数再再考し、4星。
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