淡々と始まり、淡々と終わるにも関わらず心にしみる作品です。人を愛する大切さや素晴らしさが丁寧に描かれています。二人の出逢いも運命的。普通の人にはない苦労を背負いながらも前向きに生きる二人に改めていろんな事を教えられた作品でした。花婿の養父母
が彼をいかに愛して育てたか、又、花嫁の父、祖父が男手でいかに苦労して育て、自分と同じ気持ちの男性にしか娘は渡さないと思う気持ちは、人の親としてとても共感出来ます。
私事ですが、私も実子以外に養女がいます。彼女は阪神淡路大震災の被災者で、小学3年生の時に家も身内も全て亡くしました。縁あって私共が引き取った時には、会話さえまともに出来る状態ではありませんでしたが、周りの方々に支えられ、現実と向き合い、何とか立ち直ってくれた時の気持ちは、一生忘れられません。私共はただ実子と分け隔てることなく愛して来ましたし、それはもうただ必死でした。その大切な長女が良いご縁に恵まれて2年前に嫁いでゆきました。お相手は娘のことをとても理解し、愛してくれる男性です。長女は大学生の娘と高校生の息子の良き相談相手にもなってくれます。妹弟も姉を頼りにしていてたまにケンカもしますがとても仲のよい姉妹弟です。私とも職業柄週に3日は必ず会うので結婚後も良く話をします。今の彼女はとても幸せそうで、私だけが結婚生活は上手くやれているのか、私達に気兼ねして隠していないか、我慢していないかと未だに気を揉んでしまい、子供達に笑われますが、親って所詮こんなものです。この作品は被災者という点、そして養子という点、また親の目線での気持ちが綴られていて私にとっては並々ならぬ程共感出来るのです。すみません、私事で長くなりましたね。ですが本当に年代を問わずいろんな方に読んで頂きたいです。心にしみるとても良い作品でした。
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