ヒロイン、思いきって行って、町の女性人気の高いコールにぶつかってみて冒険してホントによかったよね、と、そんな気持ち。
程度の差こそあれ、親の価値観で子どもの人生観や異性観は強く左右される。ずっとそういわれたら、反発するか従うかなのだろう。
親や身内の反対でチャンスをフイにしてきた苦い経験を持っていると、このストーリー身に染み渡って感じるものがある。
当たって砕けろとはよくいったものだと思う。ヒロインの体当たりがなければこの展開は永久になかった。彼の眼中に収まるタイプではなかったのだから。
王道の契約結婚物だが、そこはHQ、ドラマを用意してくれる。二人が結婚、町一番の有名人のコールが、地味過ぎるヒロインとなんてそんな話があるわけがない、と思う勤務先や町の女性たちの反応は、残酷だったが、青天の霹靂のその話の流れは不思議ではないように展開。お話の世界なので、本当であると示す為に彼が小細工をやってくれる。
彼がそれほど名うてのプレイボーイの立ち位置でいたための、女性からすれば痛快な逆転打。失礼な周囲のりアクションに対して鼻をあかしてくれる。
しかし、本当の始まりは、そんな形を揃えるための嘘の始まりでなく、生活の中で何気なく確信する愛情であり、普通に日々を過ごす中での笑顔、食卓、趣味や外出を通じて知り合う互いの理解から始まる時間をかけた一歩一歩だった。
ピルを飲んでから、ということで指折り数えて待つ様子が、まるで初めてのデートのようで、当人二人のときめきが良かった。
52頁の描写がいいと思う。
ヒロインを下手すれば一生を暗闇に放置しかねなかった母親が、過去のエピソードだけで、現在姿を表さずにいてくれてよかった。出てくれば成るものも成らなかったろうから。
母親の呪縛から解放される生き方を採って成功したヒロイン、反対に、祖母の呪縛を甘受せざるを得ず付いてきた幸福を発見したコール。
二人の本当の始まりが、偽装を正しくした。
諦めの悪い投資仲間のその後が気になるけれども、才覚のある彼がおとなしく牧場主に収まるのだろうか?との今後の関心や、引っ込んだら逆にもったいないとの気持ちまでもが残るのだが、あとがきがおふざけが強すぎて、多少引いた。
おじいさんの扱われ方や、コールの昔の状況、生前のお祖母さんと三者の関係によくわからない部分がある。そのため、星を調整させてもらうことにした。
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