気づいたときには相当好きになってた。秘めていられるほど淡いものでなかった。
主人公響は何度も気持ちを真っ直ぐ伝えに行く。
先生の立場を思うと、どんなに突っぱねてもやって来るこの子は段々特別になってしまうのは無理からぬこと。先生の心境は、
台詞で響や脇役達に語る以外には分からないようになっている。
コマの切り取り方が素晴らしい。特に、人間や物的背景以外の描写が。先生の自律心は、一般的な先生ものより強めだが、堅苦し過ぎない自由度もあってよい。先生と生徒の距離は、先生のお宅へ生徒が転がり込む時代背景を表すことで、恋愛相談あり家庭のいざこざ解決もありの濃い人間関係の状況。
現実社会で、尊敬どころか人間として容認できない教師も少なくない中で、各教師の人間ぽいところがこの作品には示されてしかもその上に、教師も人を好きになる生身の人間であるという事に対して、暖かい。学校は厳しいが。。。
好きになってしまったら、気持ちが通じあってしまったら、もう相手が教師だろうと生徒であろうと、という側面と、きっちり職責を果たそうとする社会人として、教育者として、との高校生相手に大切にしている側面とが描かれている。
教室のシーンだけそれらしく挿入される、といったような簡単な作品ではないことが素晴らしい。
恐らく、好評につき連載長期化した背景ありかと想像するも、惜しむのは、そのため、先生が絵的にいろいろに見えてしまいすぎたこと。
だが、付き合うことになってからの、山あり谷ありを、何とか泳ぎ切った二人に、心から、卒業おめでとう、と言いたい。
因みに私の知り合いは、結婚するまで、ごく親しい友人にも交際を口外しなかった。卒業後に交際を噂されていた関係は他にも聞いていたが、ゴールしたのはそれほど慎重にしていた組だけだ。
ことほど左様に、この関係は大変なのだと承知している。
もっとみる▼