衝撃の物語スタート。
冒頭から70年代の一条ゆかり先生作品並の不安定要因を見せ、それでいながらホームドラマの光景が繰り広げられていくよう。
特別に仲の良い主人公のすぐ上の兄と主人公を軸に、明るめで時に繊細に、くらもち先生のセンスで織り上
げられた家族とその周囲の模様。
すごく好きな兄が血が繋がってないとわかりなんだか嬉しい主人公の気持ち、妹だから特別な地位にいられると思うと、きれいな同級生に引け目を感じる気持ち、目の前で女性と親しげなところは、やっぱり見たくない。
ストーリーを取り巻く独特の感性がくらもち先生ワールドで、とっぷり入り込める。入り込めれば、小さい方の兄を取り巻くミーハーな女の子達の気分も驚くほど手に取るように理解できる。
最近の漫画家は黒を使うのが上手じゃない、と、くらもち先生の作品に触れるたびに実感する。
一つ一つのコマが、くらもち先生には他の感情を呼び起こす引きがある。台詞に頼らず表現できているものが大きいのだ。
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