メイの人生全て「祖父」が障害となって行き詰まる。アダムとの恋も。けれど、一つ解せない事がある。メイの母親が間違いを犯したと祖父が責めているにもかかわらず、なぜメイを一般の学校に通学させていたのかという事。名門校のカリキュラムにはお嬢様という
アイデンティティーを育てられないと絶望したからなのか?結局は祖父のその判断が裏目に出たわけだ。祖父が執拗にアダムを攻撃するのは祖父自身の過ちをチャラにしたかったからと読んだ。狭量な男だそれが判事だなんて背筋が凍る思いがする。それでもメイもアダムも消えていない想い。離れていても憎いと思っても忘れていない。特にメイの優しさや一途さが際立っている。そんな情熱がそこここに見えてロマンチックな流れは佳境へ。アダムが拘っていた事象の誤解が解けていく中、メイがバラの花びらを1枚1枚拾い集める場面は秀逸と言える。クリスマス前の寒い夜、水をかけられたアダムだって凍えただろうが、その後何分もかけて水浸しの地面に屈みこみ花びらを探すメイはもっと凍えていただろうと考えると、目頭が熱くなる。クライマックスは「もう何もいらないからアダムを助けて」メイの叫びにようやく愛の尊さ重要さを財産に替えることなどできないと示してくれた。ただ、登場人物の全身や半身がクネクネとした書き方なのが気になって仕方ない。真っ直ぐに立っててもらいたい箇所が目に付く。
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