好きだったならなぜそれをオモテに出さないのか、そのときどきの事情もあろうが、やはり、肝心なことを全部クライマックスにまとめているところが、私には長い間延びが続いているように感じた。
初恋が一瞬で終わったと思ったヒロインの、再会後の動きも、
次期国王となる話に対して交換条件を持ち出すフェルッチオの、長い無表情も、どちらもその必要性が理解できなかった。
それにしても三部作の3人のヒロインは見た目が似ている。髪型のみで、描き分けられているよう。
彼女らの相手は三人三様に見えるのに。
三作共に悪役のほうはしっかり悪役を張ってくれていて、その串刺しが凄いといえば凄いと言えるし、語る力の創意工夫面が厳しかったようにも見える。
ステラは見事に第3作目途中まで役を果たしたが、美しい悪役、というには途中からただ邪悪な形相に変わり、多少興が削がれた。それは、悪人としての「正当な」扱いかも知れないが、毒蛇の名に相応しい妖しさまでも減じたのが、一層ストーリーの弱さを招いたようにも感じる。
悪の華のパワーも此処まで、というのは、同時に、一作目二作目の小悪党ぶりに少しだけパワーアップしたステラが、結局は三作目でも簡単に玉砕。
話を二人のその後を伝えることに早く持っていきたかった、という作り手の意思もあるのかもしれないが、他愛ない内輪もめに終わり安っぽくなった気がしてしまう。王族内の内紛や込み入った人間関係の「複雑性」に比較して、三作共にストーリーは「あれ?、これだけ?」なのだ。
セットで読み、感想を単品でも書いたが、いずれも切り上げして星4つに届かせた。しかし、この作品で三作を繋げるものが全てのピースが揃ってパズル完成、という意味での満足感は得られるが、凝ったパズルじゃなかったな、との何となくの歯応えのなさはある。
星3.5で4個としたが、3個にしようか悩んだ。
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