病床で余命短い兄を看るギニーと、子供を失った悲しみに暮れるファーガスの恋愛模様。最初から泣かせる気満々の物語です。病気だからとはいえ、妹に迷惑をかけているけれど孤独と死への恐怖に怯えるリチャードの心情もしっかりと描かれているし、二人とも医療
従事者であるから、死を切り離せない現実が物語に拍車をかけている気がします。娘を失って身の置き所の無いファーガスと兄を亡くしたギニーがお互いに前を向いて生きていこうと、寄り添い励ましあっていくその姿は涙なしでは読めません。複雑な家族構成に悪意を向ける者がいて、それに立ち向かわなくてはならない姿勢や、助け手は近くにあるのだと孤独ではないと元気づけてくれるエピソードは、簡単に愛だけで語れない生活がそこここに描かれていて胸を打ちます。が、少々綺麗に書かれ過ぎていてもっとドロドロとした「死」への恐怖と葛藤と本音を描いてあれば完璧と言えたでしょう。それでも、悪意に対して逆襲はしているし、マディーの素直さも安心させてくれる要素となって物語は収束しています。
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