深い宮廷文化の知識が見事な現代語で綴られ、奥ゆかしさの極みみたいな文のやり取りの中で男女が知り合う。
D.キッサン先生の古典の素養が嫌みなく披露され、時代性を強く感じることが出来る豊かな造りなのにそれでいて説教臭さの欠片もなく、寧ろ相当く
だけたお話に仕立てる手腕が凄い。絵は目があっさりなので少々拍子抜けもあるが、概ねストーリー展開に引っ張られて、気持ちよく読み進められる。手抜き感は無い。8巻構成がちょうどよい。6巻辺りから面白さ増してきていて、完結巻である8巻に入るのが惜しくて、味わうために次第にのんびりモードに切り替えて読むようにした。
虫めずる姫の話は子どもの頃読んで印象的だったので、このようなオマージュ(?)は楽しい。
自由に描いているところがいい。
春雪が重要なのは判るが、彼にストーリーを回させ過ぎな気がした。
このような奈良平安時代の漫画の中では飛び抜けて良かったと思う。
天女の羽衣を下敷きにするストーリーも悲しい味付けをしておらず、イモムシのエピソードを見せてくれるところにユニークな創作力を感じ、モスラに至る発想と、虫めずる「母」君との絡みも、変人扱いと理解者を得られることの周囲の有りようの対比クッキリ、良かった。現代語で進行するせいもあってか、キャラも心情描写も歯切れよくて、全般カラッとさっぱりしているのもいい。嵐ならぬ颪も、アルファベットのルビが効いていた。
典待様のバリキャリも楽しめたし、イリュージョンも平安ものとしての様式が感じられて、4巻目、第33帖から、面白さのギアがよりアップする。
もっとみる▼