「あのときxxしておけばよかった」「何でその日にxxのほうにしたんだ」「今思えばxxしなかった自分を責めたい」
誰もが抱える後悔の気持ちがストーリー。台詞もリアルにありそうな展開で、SFなのにそのSFテイストよりも、一人の転校生を皆で包み
込む気持ちに、取り返したい過去を取り返して取り替える、「時」のマジックが応えてくれた話。
読んでいて、いろいろな小さな分岐点での選択の積み重ねを思うけれど、何事もあとから考え直すと、一つ一つが繋がって未来を形成するのだということが、未来の自分に教わる主人公とそのクラスメートたちの、過去の自分達への思いが強く感じ取れて青春物の劇中劇を造るよう。
人を好きになる気持ちも含まれて、切なさ倍増。翔の死を、知っていたなら避けている、という友情が動かす、時間軸への抵抗。タイムパラドキシカルな側面がこの種のストーリーには付き物だが、描かれたのは、知っていたら行動は当然違ったものとなる、という一点。
16歳高校生でプロになった高野先生。編集方針を巡ってなのか、この作品発表の途中での休載が長く続いた。そのための憶測が飛び交い、筆を折ったのかと案じられて、未完の可能性を覚悟したものだが、鮮烈の移籍(実写映画化まで一気)があり完結まで漕ぎ着けた。
ストーリーに中断期間の悪影響は感じられず、むしろ、フィールドの変更が、先生の作風に、なにかを吹っ切らせたように思え、生かされた翔のように作品が未来を作り出したと感じる。
それにしても、須和くんの立ち位置。ドラマの世界ではこういう、二人に最も近いお友達、普遍的なキャラでありがち乍、この作品は未来視点もある。そこは、番外編で少し見てみたかった。
以下2020/7/4記
6巻発刊を知ってから、読む迄時間がかかった。しかし読んで良かった。あとがきによれば7巻も出す気満々のようだ。それは嬉しい。
連載とコミックス出版が途絶えて、いろいろ憶測?まことしやかな噂?がネットに書かれていたが、遂に7巻目とは!。よく描いてると思う。娘も高野先生の大ファンだ。
才能ある作家が編集サイドと話が合わないことあるらしいし、意に沿わぬ仕事よりも生き生き作品を世に出せる環境で執筆して欲しい。手厳しい批評もあるが、幸せに描かれること祈ります。
2022/11/5追記
7巻最終巻読了。思い交錯。皆が翔を想う図が綺麗に収まっていた。平行世界認識後得られた物気づけたもの。
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