昔読んだ作品というのは、実家から出たり引っ越したりしているうちに整理せざるを得なくなってしまい、また読みたいと思ってももうなかなか入手できないものだ。
そんな作品の中でも好きだったものをまた読めるというのは本当にありがたい。
作品全
体に流れる静かな雰囲気がタイトルと非常に合っていて、なんともいえず心に沁みる。
派手さもなく、淡々とした登場人物たちの美しさが、時に抑えた中から溢れる感情が、読み終えたあと、ただ黙って本を閉じて心に仕舞っておきたいと思わせる。
惹きつけて離さない特別な面白さとは言えないが、それでも確かに特別な作品であることは間違いない。
もっとみる▼