転生ものも好きだが、こういうタイムトラベラーものも良い。それがたとえ生み育ててくれた親や、共に育った兄弟姉妹(この場合は親無しの双子)と離れ離れになろうとも、愛する人と居たいが為に、別の時空へ旅立ってしまう、という、強い覚悟を伴う話は、思い
の深さ強さが感じられてロマンス飛行に自分も入り込んだ気分になる。
一種駆け落ちのSFものといった趣がある。
ただ現代の文明を、面白半分過去に持ち込んでギャップにストーリーを見出だすのではなくて、出会うはずのない二人が出会ってしまうドラマが面白いと思うのだ。
広い世界で、二人が出会うのは、生きる時代を同じくしても奇跡に近い偶然の賜物。こうしたストーリーは、その時代さえも異にするもうひとつのひねりが含まれる。
もとの時代に帰ったら二度と会えない。そんなことがあったら、他の人と過ごす人生は意味がないのだから、肉体に負荷がどれ程かかっても会いたい気持ちは、痛いほど理解できる。
出会いとは、同時代性の要素が本当に強いものだと思う。数年さえもタイミングのずれが決定要素であることはよくあるから、生まれる時代の違いは悲劇のひとつ。
HQはハピエンです。
ハピエン万歳
追記:レトロな館が醸し出す存在感や独特のカラリとしない空気感から、室内の小道具的な物の細部の描写に至るまで、絵は素晴らしい。光崎先生の人物絵は個性的だが、それはそれで、この世の者から別時代に移って行ってしまう淡い感覚と合う。
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