ギリシャ神話は子どもの頃大好きだった。神様っていってもあっちこっちの女性に手を出したり、嫉妬に狂ったり、いさかいもあるし、とにかく崇高な存在ではなくてむしろ俗っぽくて、大変驚いたものだ。
それに日本の神話と似る冥府の神の物語は特に印象的だ
った。
その、あの、地下を治める神様の自由な形の恋愛ストーリー、思いつきがよかった。ハデス様とコレットの二人のロマンスの決着のさせ方は納得。確か夫婦愛の強い神様だったはずだから。
そして、薬師の組み合わせ、その職を取り巻く環境描写、ロードムービー的な要素あり。ギリシャ神話お馴染みのメンバーもあれこれ登場。コレットの日々には医療行為が不可分であるため、癒しや患者への寄り添い、献身的な行動があって、話の中身も病や死に関しての視点を欠かせない。
だからこそ、ストーリーが柔らかく、人と人との当たりがどこまでも厳しく対立するなんてことはなくて、フワッとしてる。
けれど、要所要所でコレットの身の上を窺わせる材料をほのめかし、私の胸をざわつかせる。そして、そんな私に最大の試練が17巻。
ハデス様は人間臭さはなくてもよいが、コレットとのロマンスの体を取るからには、男性っぽさはもっと欲しかった。
台詞無しの絵のみの場面が多い話もあったし、裁判官や薬師の代わりをする(代行/補佐/後任、的な)存在も登場させたのが、果たしてストーリーに吉と出たろうか、という感触もある。
また、絵の変遷が大きくて、例えば最終巻の表紙、微妙にそれまでとは感じが離れた感じ。
有りそうでなかった、こんな設定、という意味での話の面白さは良かったが、シイラー&ノムさんは少しだけ唐突な感じ。
地上のいろいろな村の描写や、遍歴医や兄弟子姉弟子との関係設定、良かった。
ヘファイストス、個人的には掘り下げて欲しかった。柊とか、出会ってしばしメインのターンとしてのやり取りのあとは有ってもわずかな交流だけのお友だちも生じてしまったことも残念。
冥府の食物の話、ギリシャ神話のほうでの設定はここでは無しなのかと思っていたところ、最後には出てきて、なんだか急遽取って付けた感大。
19、20巻は、二人の今後についてを考える為には必要な箇所もあったが、脇道に時間を取りすぎたようにも感じた。
神様達が自由に描かれたことは私は歓迎だが、好ましく思わないひともいるんだろうとは思う。
4.45〜4.5のつもり。
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