クリスティーナは一枚の絵に見入っていた。そのとき、うしろで低い魅惑的な声がした。振り返ると、黒髪の野性的な男性が立っていた。ガブリエル・マルケスと名乗ったその男性は、「君が作品を鑑賞するのをずっと見ていた」と言い、一歩近づいた。クリスティーナの胸は騒いだ。画廊の中には私より魅力的な女性がたくさんいるのに、なぜ彼は私に声をかけてきたのだろう。私は、こんな危険な魅力の漂う男性に好かれるタイプではない。彼は強引にクリスティーナを誘い、甘い言葉をささやき、またたく間に彼女をとりこにした。クリスティーナは、情熱的な愛に幸せいっぱいだったが、心の片隅には、本当に愛されているのかという疑いが根づいていた。