婚礼の翌朝に器を三度取り違えた奥方ですが、蔵の乾酪を数え直していたら、蔵役が日に一度言い違いだけを直していってくれます(汐見ふゆの )の注意事項

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漫画(まんが)・電子書籍のコミックシーモアTOPTL(ティーンズラブ)TL小説Realize出版C-Trap ROMANCE婚礼の翌朝に器を三度取り違えた奥方ですが、蔵の乾酪を数え直していたら、蔵役が日に一度言い違いだけを直していってくれます婚礼の翌朝に器を三度取り違えた奥方ですが、蔵の乾酪を数え直していたら、蔵役が日に一度言い違いだけを直していってくれます
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婚礼の翌朝に器を三度取り違えた奥方ですが、蔵の乾酪を数え直していたら、蔵役が日に一度言い違いだけを直していってくれます 発売予定

830pt/913円(税込)

8/17(月)発売予定

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作品内容

【この作品は生成AIを使用しています】

塩の入った浅い木の器と、朝の乳を入れた深い陶の器と、何も入っていない小さな鉢。置く順は、塩、鉢、乳である。
二年前の婚礼の翌朝、イルムガルト・ヴァイツはその順を三度取り違えた。三度目に、誰かが吹き出した。土地の言葉が一語も聞き取れないので、何を言われたのかは分からない。分からないので、笑われているという事実だけが残った。事実だけが残ると、人は自分でいくらでも中身を書き足せる。彼女はその朝から二年かけて、書き足しつづけている。
北の山あいの領。谷の家は十三軒。イルムガルトは二十二歳になった。子はできず、土地の言葉は覚えず、廊下の真ん中を二年一度も歩いていない。前の生では、朝に十四人の子を受け取って夕方に十四人を返す仕事をしていた。顔と名前を覚えることだけが取り柄の女だった。
九月の初め、夫コンラート・ヴァイツが四十一歳で急死する。喪の差配は慣いでは奥方の役目だと告げられるが、器の置き方も、谷の十三軒の並びも、彼女は何ひとつ知らない。女中頭のヴィルヘルミーネは、奥方様は座っておいでなさいまし、と言う。
弔いのあと、イルムガルトは石の段を十四段下りて塩蔵へ入り、乾酪を数えた。帳には三百二十玉とある。五度数えて、五度とも二百六十八玉だった。差は五十二玉、値にして百四ターレル。その帳を十四年書いてきたのは、乳母の家筋の孫で二十八歳の蔵役ベネディクト・ロートである。嘘をつかないかわりに答えを言わず、こちらが自分で決めるまで待ちつづける男だった。そして二年前のあの朝、笑わずに器を置き直した、ただ一人の人でもあった。
十一月、乳母の家筋は馬車二台と箱六つを用意して里帰りを勧める。イルムガルトはそれを断り、帳の差配の欄に自分の名を書いた。冬の塩が十八袋足りず、東の辻の市へ自分で出ると、三軒の天幕すべてで一袋八十クロイツァーと吹っかけられた。去年は五十二である。ベネディクトが三言か四言だけ口を挟むと、値は五十四に下がった。合っていることと通ることとは別でございます、とこの男は言う。
冬のあいだ、彼女は十一歳のハンネから土地の言葉を一語ずつ覚える。持つ、という語だけで四つあり、四つ目は、渡すために持つ、という意味だった。
やがて乳の間の柱を覆っていた桶をどけると、そこには三十四段の刻み目があった。いちばん下の段は四本ずつが十三組ある。書かれていない記録が、三十四年ぶん立っていた。
よそ者のまま領に残ると決めた女が、帳の欄に自分の名を書くまでの、九月から六月まで。異世界転生の恋物語・全10章完結。

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作品ラインナップ 

  • 婚礼の翌朝に器を三度取り違えた奥方ですが、蔵の乾酪を数え直していたら、蔵役が日に一度言い違いだけを直していってくれます
    8/17(月)発売予定

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    830pt/913円(税込)

    塩の入った浅い木の器と、朝の乳を入れた深い陶の器と、何も入っていない小さな鉢。置く順は、塩、鉢、乳である。
    二年前の婚礼の翌朝、イルムガルト・ヴァイツはその順を三度取り違えた。三度目に、誰かが吹き出した。土地の言葉が一語も聞き取れないので、何を言われたのかは分からない。分からないので、笑われているという事実だけが残った。事実だけが残ると、人は自分でいくらでも中身を書き足せる。彼女はその朝から二年かけて、書き足しつづけている。
    北の山あいの領。谷の家は十三軒。イルムガルトは二十二歳になった。子はできず、土地の言葉は覚えず、廊下の真ん中を二年一度も歩いていない。前の生では、朝に十四人の子を受け取って夕方に十四人を返す仕事をしていた。顔と名前を覚えることだけが取り柄の女だった。
    九月の初め、夫コンラート・ヴァイツが四十一歳で急死する。喪の差配は慣いでは奥方の役目だと告げられるが、器の置き方も、谷の十三軒の並びも、彼女は何ひとつ知らない。女中頭のヴィルヘルミーネは、奥方様は座っておいでなさいまし、と言う。
    弔いのあと、イルムガルトは石の段を十四段下りて塩蔵へ入り、乾酪を数えた。帳には三百二十玉とある。五度数えて、五度とも二百六十八玉だった。差は五十二玉、値にして百四ターレル。その帳を十四年書いてきたのは、乳母の家筋の孫で二十八歳の蔵役ベネディクト・ロートである。嘘をつかないかわりに答えを言わず、こちらが自分で決めるまで待ちつづける男だった。そして二年前のあの朝、笑わずに器を置き直した、ただ一人の人でもあった。
    十一月、乳母の家筋は馬車二台と箱六つを用意して里帰りを勧める。イルムガルトはそれを断り、帳の差配の欄に自分の名を書いた。冬の塩が十八袋足りず、東の辻の市へ自分で出ると、三軒の天幕すべてで一袋八十クロイツァーと吹っかけられた。去年は五十二である。ベネディクトが三言か四言だけ口を挟むと、値は五十四に下がった。合っていることと通ることとは別でございます、とこの男は言う。
    冬のあいだ、彼女は十一歳のハンネから土地の言葉を一語ずつ覚える。持つ、という語だけで四つあり、四つ目は、渡すために持つ、という意味だった。
    やがて乳の間の柱を覆っていた桶をどけると、そこには三十四段の刻み目があった。いちばん下の段は四本ずつが十三組ある。書かれていない記録が、三十四年ぶん立っていた。
    よそ者のまま領に残ると決めた女が、帳の欄に自分の名を書くまでの、九月から六月まで。異世界転生の恋物語・全10章完結。

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