世の中の70歳と聞いてまず何を思うか?多分、10人中10人がご高齢の、とか年配の老人のイメージを持つと思う。今回の主人公はだからこそ70じゃなきゃならなかったんじゃないかと思う。
産む側が60じゃ、読み手としては、まだ若い方も多いと思うし
成人する頃を考えれば90歳だし。70歳がちょうど良かったのだろう。
この物語の良いところは、酸いも甘いも知った老人が子供を得た事。人生の終わりに近い自分たちと対照的に始まったばかりの子供の人生を照らし合わせていること。
ファンタジーな設定にリアルな育児の内容が盛り込まれることで、作者はちゃんと育児の経過を見たことがあると感じられます。実際子育ての細かいところや、子供に対してイライラしないのか?とか、あるかもしれないけれど、彼らは彼らなりに70年生きているわけでその辺の中年なんかには負けない包容力や犬とはいえ我が子と思い育てた経験とファンタジーのご都合主義はあるので、気にしてはいけない。
それよりも、見るべきは産むと決めたならどんな子でも我が子と思い育てる心。周りにとやかく言われようと自分の元に来てくれた命を大事にする心にドキッとした。
もちろん葛藤があったという描写もある、周囲は育児に理解のある理想的な環境、理想的なご近所さんがいてご都合主義につきるが
読み手側が感じるべきは、物語の主人公たちの恵まれた環境に対する嫉妬ではなく、読み手側へ伝える意図を解すべきだ。感じかたは人それぞれではあるので一概には言えないけれど
命の使い方、幸せの感じかたが終わりが近づいている二人の姿により切実に感じられ、読み進めれば行くほど切なさを増していく、だからこそコミカルな内容を挟んでいるんたろうけど、私はこの話がファンタジーで良かったと思う。
現実には受け入れられない内容だけれど、物語だから読んだ後、自分の子供を抱き締めたくなりました。
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