少し前にデリ ヘルの男の子が出てくる話を読んで、結ばれた2人の後の未来の不確かさに複雑な思いになったことがあり、この2人はどういうふうに描かれているのだろうと思い、読んでみました。
ものすごくよかったです。作家様の性格もあると思うのですが
、本谷が作る美味しそうな料理、コーヒーの香りがしそうな朝、野菜を切る音‥など、暮らし方が隅々まで丁寧に描かれています。この場所にずっと独りで生きてきたサクがいられたら‥と思わずにはいられない、生活の息遣いや温かさが伝わってきて、読むこちらまで心地よいのです。ご飯ができる時の「顔洗ってきて」って何気ないセリフ、好きでした。
本谷は1人で生活することを楽しめるタイプなのかも。一方で人を求めていないようで、人恋しさも抱えている感じがしました。誰でもいいわけじゃない。心のスキマを埋めてくれる誰か。サクはそんな中で、運命に惹かれ合うように再開した人だったのかもしれません。
フォロー様が10年ぶりにサクが本谷を見つけた時の心情を書かれていましたが、ものすごく共感。迷っただろうな、でも嬉しくて。たまらず声をかけたんだろうな。
2人の優しく温かな未来を思い描けるラストでとても良かったです。
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