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表題作と『土中の繭』の、高低差激しい中篇2作品。トトロから火垂るの墓の同時上映で絶望したあの日を思い出しますね!
『土中の〜』の方を表題に持ってきたかったところ大人の事情で同録に、とのことで、描き下ろし短篇もそちらのもの
。
闇BLの名を冠するにふさわしいサスペンスでした。
大人と子供の狭間、それぞれがそれぞれの繭の中、飛び立たない、飛び立てない、飛び立たせない。田舎の学校や家庭の閉塞感。まさにタイトル通りの「土中の繭」で、描き下ろし含めてとても面白かったです。あとがきで作者さんが「こんなサイコパスの考えてることなんてわかるわけねーですよ!」って書いてるんですが…その潔すぎるくらい潔い割り切りが、こういうダークな作品をフィクションとして成立させる助けになっていると同時に、サイコパス的リアリティを付与していると思っています。この作品がカバーを飾る姿を見てみたかった……とも思うけども、それをやると下手したら店頭から回収案件になりかねない作品だと思うので、こうして手に入る現状に感謝してます。
表題作は、テンポ良く明るい楽しい作品。杉本にはポジティブとサイコのギリギリのヤバみも感じつつ、マギー司郎の活躍がクセになる、ハッピー作品でした。こっちは星4つ。
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