ウェディングドタキャンされたヒロイン。
その収拾は大変だった。
彼デニーはずっと気にかけてくれていた。
ヒロインはもう忘れたかった。
何度も立ち読みで立ち止まっていたこの作品、食べず嫌いだった。読んでみれば、軽妙にポンポン響
くような会話がなかなかよい。彼のかけた挙式ストップが理解できるようになっており、ヒロインの側の心理的打撃や尾を引きずった混乱ぶりもヒロイン目線で表しつつ、彼がそれをした事情を身勝手と一概には言えない説得力を持たせている。
ナイツ医師は、漫画のなかには結構ある性格俳優的要素の強さと、兼恋人候補ポジションの人物としての甘さ強引さとをも持ち合わせた存在。どっち付かずの微妙な半端さが、却って作劇の都合で便宜的に配置されているだけのように見えてしまう。ヒロインとナイツ医師との二人の関係が友達より深い。
一歩引いた心理分析者にして且つ時々一歩踏み込む強引さもある横恋慕人間。インサイダーなのか、アウトサイダーなのか。いまいちアンバランスだしキャラ造形的にこの人の本心は見えなくしているために、ヒロインでなくてもごめんなさい気分になりやすい。男性アピールのシーンが多いのに勿体ない。
童顔に巨乳というヒロインの絵柄がしっくりしない私には、ヒロインのルックスに対して、HQで描かれる年齢層に比較して若いとの印象を持った。衝撃の出来事に対するヒロインの反応いろいろについては、幼さゆえともいえるし、デニーへの憧れと結婚そのものに対する憧れと、結婚願望の暴走の挫折の結果とも言える。苦しいドタキャン被害の克服体験をしてしまったヒロインの心の軌跡がとてもわかる気がする。
途中106頁?の最初のコマは苦手。 メインキャラふたりのコマなのに、いくら安定しない二人の関係性を象徴的に崩れ落ちそうな二人の愛の代替表現のように描き込んでるにしても、二人の顔はロマンス物のそれではない。怖いオカルト入ってるかのようだ。
二人はロマンスストーリーのメインキャラ、困難なときであっても、やはり読者に愛される線にいて欲しい。
トラウマを乗り越えていく描写はあったのに、読み手としては、ヒロインの彼に対する心境の変化が納得的ではなかった。出来事よりも、内面の変化を彼女のコマのどこかにもっと実感できるよう目撃したかった。
それにしても二人ともよく泣くなぁ、と、再読してつくづく思った。
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